「僕の顔をお食べよ」
byアンパンマン 『アンパンマン』
森の中で泣いている子供がいると、いつのまにかその背後に現れる漢(おとこ)
そして飛び出す笑顔と台詞。
おなかがすいている子供(?)にとって、これほどの甘い誘惑はないだろう。
場所が場所なら誘拐犯にも見えるところだ。が、しかしここは小さな田舎村。
たぶん
「知らない人から食べ物をもらってはいけません」
なんて親から言われることもないのだろう。
まぁ、奴が現れるのは、泣くほどに腹をすかせた子供のところだから、
いくら親に言われていたとしても空腹がそれに打ち勝つかもしれない。
なにせ奴の顔はアンパンだ。しかも、売店に置いてあるアンパンなんかと違って
「生きてるパンを作ろう」が信条のジャムおじさんの手によって、
なぜか
どこから切り取ってもアンが詰まっている
というすばらしい状態だ。
これはきっとうまい。
そう思うはず。
だが
ちょっと待て。
その笑顔につられて、彼が差し出す一欠けらを口に運ぶ前によく考えるんだ。
これはまともなパンなのか?
一人の生物(?)の頭部に位置し、
一応考えたり、言葉を話したり、遠くのものを見たりすることができる。
そんなパンがまともといえるだろうか? 味はまともだったとしても、
一人の人物を構成しているその一部を食べるのだ……え?
てか、
これってカニバリズム?
☆カニバリズム☆ 食人。同種食いのようなイメージがあるが、 |
これはやばい。
きっとアンパンマンの頭を食べた子は思うだろう。
「アンパンマンの頭だって食べられるんだ……
カバ君とか、うまいかも」
しかもあの村にはなぜか頭部が食える連中が普通に生活している。
きっとそのうちに村中で腹をすかせた子供たちが頭部なら大丈夫と、
友達に噛み付く現象が起こることだろう。
そして
アンパンマンは一人ほくそえむに違いない。
これこそ奴の目的なのだから
……て、じゃあ、ジャムおじさんはラスボスですか!?
ああ、
ばい菌マンが正義の味方に見えてきたよ。