「僕は死にません」 
by達郎(武田鉄矢)



                     

道路の真ん中で叫んで、飛び込んでくる車に向かって両手を広げろ!
大丈夫。愛があれば、車の方が止まってくれる









そんな分けない





そんな分けないだろ世の中。

実際、この台詞のせいで、酔っぱらいの車への衝突事故が一時期増えたとか……

そんな曰くまであるこの台詞。
最近の若い子は知らないかも知れないからご説明をば。


この台詞は「101回目のプロポーズ」という、
当時すでに金八先生として有名だった武田鉄矢を、主役においた
恋愛ドラマ

主人公である達郎(武田鉄矢)は、今までプロポーズを何回も失敗している男。
一方、美人チェリストの薫(浅野温子)は、恋人を亡くした女。
そんな2人の不器用な愛。それがドラマの主だったわけです。




なのに





なのに、いつの間にか、


台詞ばかりが世に残り、


肝心のドラマの内容は、


ほとんどの人々がもはや、


忘れ去っているという……………



これは、台詞の恐ろしさと、可能性をまざまざと見せつける物ではないだろうか。



さて、この台詞。
もちろん、道路に飛び込みながら言うのが一番の活用法です。
けれど、やってはいけませんよ。
死にますから


まぁ、だいたい、「印象に残っているドラマの台詞」
で、この台詞を出すような人間は、

大抵ドラマをたいして見ていません


今、ギクッとした人。
大丈夫。私もだから



そんな風に、「如何にドラマを見ているかどうか」をチェックする物差しにするのもよし。
もしくは、本気で好きな人に言って、振られるのもよし。
いかようにも使える素敵な台詞ですね。









けれど、ちょっと気になることがあります。
「僕は死にません」
この後に続く言葉を覚えていますか?
「あなたが好きだから」
確か、そう言っていました。

でも、それを、
恋人に死なれた女に言うのはあまりにも酷じゃないですかね?



だって、つまりは、
「あなたをおいて死んだ恋人は、あなたを好きではなかったんだよ」
って、受け取れません?







はい。






私がひねくれているだけですね。


言葉って言うのは、
つまりどのようにも受け取られる可能性があると。
そう言いたかっただけなんですよ。







…………本当だってば!