「ロード・トゥ・パーディション」
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監督: サム・メンデス Sam Mendes 製作: サム・メンデス Sam Mendes ディーン・ザナック Dean Zanuck リチャード・D・ザナック Richard D. Zanuck 製作総指揮: ジョーン・ブラッドショー Joan Bradshaw 原作: マックス・アラン・コリンズ リチャード・ピアース・レイナー 脚本: デヴィッド・セルフ David Self 撮影: コンラッド・L・ホール Conrad L. Hall 音楽: トーマス・ニューマン Thomas Newman |
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楽静的点数 80/100 |
出演: トム・ハンクス Tom Hanks マイケル・サリヴァン ポール・ニューマン Paul Newman ジョン・ルーニー タイラー・ホークリン Tyler Hoechlin マイケル・サリヴァン・Jr. ジュード・ロウ Jude Law マグワイア ダニエル・クレイグ Daniel Craig コナー・ルーニー スタンリー・トゥッチ Stanley Tucci フランク・ニッティ ジェニファー・ジェイソン・リー Jennifer Jason Leigh アニー・サリヴァン ディラン・ベイカー Dylan Baker アレクサンダー・ランス リーアム・エイケン Liam Aiken ピーター・サリヴァン シアラン・ハインズ Ciaran Hinds フィン・マクガヴァン ケヴィン・チャンバーリン Kevin Chamberlin |
親父〜死ぬな〜親父〜(涙)
のっけから、叫んでしまったけれど、とにかくこの映画の第一の感想はこれだった。
トム・ハンクスがマフィアやるなんてにあわな過ぎると思っていたが、
まさか、その似合わなさを狙って映画が作られているなんて誰が考えただろうか!?
ストーリーは復讐もの。
妻子を殺された男(マイケル=トム・ハンクス)が、
生き残った自分の息子(マイケルJr)と一緒に、
復讐の旅に出る。という物。
映像と、音楽によって完全に作り混まれた1931年の世界は、
そのあまりにも精密な作りこみによって、逆に生気を失っているようにも見える。
また、全体的に綺麗すぎる感は否めない。
「あの1931年の6週間は・・・」なんて、
息子が語り出す時点で、大まかのストーリーはつかめてしまうし、
お涙頂戴なんだなぁなんて思ってしまう部分もある。
だが、しかし。
だが、しかしなのだよ諸君。
この映画の楽しみ方は、そんなところにあるんじゃないんだ。
むしろ、ストーリーなんてどうでもいい!(おぃ)
この作品には漢がいる!
まさに、アメリカンな男を見るための映画なのだ。
まず、第一に漢として上げられるのはマグワイア。
自分の殺した人間を写真に撮るのが趣味というサイコな殺し屋だ。
しかもこの男、結構偏執狂。
狙った獲物はとことんまで追いつめるし、
自分の殺しの値段を1600ドルと、しっかり決めているところも侮りがたい。
「好きなことをやってお金が儲かる。それが一番じゃんか」
マイケルと初顔合わせの時に、ふとそんなことを自慢げに言う辺り、
相手の心理をつくのもお手の物。
だが、しかし。
コーヒーに砂糖入れすぎだろう?
これは、実は麻薬中毒。
なんていう伏線をさりげなく張ったのだろうか?
(薬中には偏執狂や、味覚障害がいるとか)
そこら辺が少し気になるところだった。
さぁ、次に登場する漢はコナー(=ダニエル)
金のためなら、人を簡単に殺す男。
しかも短気。そのうえ我が儘小僧。
てか、親父がいなかったら何もできない典型的なバカボンだ。
しかし、よくスリラーもので風呂に入っているヒロインが襲われるものがあるが、
これほどまでに感慨を持たせない死に方をした男も珍しくあるまい。
その死に様を評価し、漢と呼びたい。
こいつがいなけてば、そもそも物語始まらないしね〜。
さぁさぁ、そして次の漢はジョン(=ポール・ニューマン)だ!
なんだかマフィアのボスにしては弱々しい漢。
だが、それも仕方がないことなのだろう。
どんな人間も老いには勝てない。
その上、バカ息子なんてものまでいては、弱々しくもなろうってもの。
「息子は枷になる定めだ」
なんてことを主人公に言う辺り、初めからすべてを分かっていたのだろう。
だから死ぬときだって「お前でよかったよ」なんて弱々しくも笑えたのだ。
天国にはいけない道を主人公に示してしまったその時から、
自分もろくな死に方はしないだろうと、そう思っていたのだろう。
さぁ、そして、最後の漢はやっぱりこの人。
マイケル(トム・ハンクス)だ!
いやはや、本当に、マフィアって似合わないわ、この人。
本当に普通の人。だけど、生きるために仕方なく殺し屋やってますって感じがよく出てる。
だからこそ、マグワイアに「好きなことをやって・・」と言われたとき、
何とも哀しそうな顔をしたのだろう。
「お前は学校の教科で何が好きだったんだ?」
そう、息子に尋ねる寂しそうな顔は、
かつて彼にも好きな教科があって、
だけど生きていくためにあきらめた経緯があるのだ。
もしかしたら、それは算数なのかもしれない。
だから彼は帳簿もすらすらチェックできるし、
「算数は嫌いだ」と、息子に言ったのではないか。
また、息子に「僕と弟ではどっちが好き?」
なんて言われる父親普通いますか?
映画を見ながらドラクエVの小説を思い出しちゃいましたよ。
「お、とうさんは……おとうさんは……ぼくとポピーと、どっちが好きなの?」 リュカは息子を見た。 いっぱいに涙をため、鼻の頭をぴくぴくさせ、小さな唇をへの字にした、伝説の勇者を。 (ドラゴンクエストV三巻目 by久美沙織) |
接し方が違うと息子に言われて、戸惑いながらも、
「お前は俺に似ている。だけど、俺に似て欲しくはなかった」
なんて呟く主人公の言葉の重さには思わず涙がこぼれてしまいました。
そんなマイケルの生き様は、だからこそ激しく、そして哀しい。
愛する妻子を失った悲しみ。さらに、命が狙われている辛さ。
しかも、妻子の命を奪ったのは、自分が使えている主人の息子……
これは、仇討ちだ。
江戸時代まで慣習として仇討ちを認めていた私たちは、
彼の行動に対してリアリズムを感じずに入られないのではないか。
復讐も終わり、息子と幸せな生活を・・・・
そう思っていた矢先に、まるで芸術作品のように彼は死んでいってしまう。
「許してくれ……許してくれ」
その言葉は、決して息子だけに言ったわけではない。
死んだ妻子へ。
これまで自分があやめた人へ。
何度謝っても、罪は消えない。
側にいる息子に、「愛している」も言えず、ただ繰り返す「I am sorry」
・・・・・・・泣きました。
こいつは、やっぱり漢でしょう!
泣かす映画としてはとても言い作品に仕上がっていると思います。
まぁ、わざとらしさを感じずにはいられませんが。
最後に、これだけでは言わせてください。
マイケルJrよ。
親父の車の座席の下になんか隠れやがって。
展開丸読みだっつーの。
てか、お前は小林少年か!(by明智小五郎)
ストーリーで見るのではなく、キャラで見る。
こいつは、そんな映画だと思います。