「海の上のピアニスト」
|
監督: ジュゼッペ・トルナトーレ Giuseppe Tornatore 製作: フランチェスコ・トルナトーレ 原作: アレッサンドロ・バリッコ 脚本: ジュゼッペ・トルナトーレ Giuseppe Tornatore 撮影: ラホス・コルタイ Lajos Koltai 音楽: エンニオ・モリコーネ Ennio Morricone |
||||||||||||
楽静的点数 84/100 |
出演: ティム・ロス Tim Roth プルイット・テイラー・ヴィンス Pruitt Taylor Vince メラニー・ティエリー クラレンス・ウィリアムズ三世 Clarence Williams III ビル・ナン Bill Nunn ピーター・ヴォーガン Peter Vaughan イーストン・ゲイジ コリー・バック Cory Buck |
時は蒸気船が世界を制した20世紀前半のお話。1900と、忘れ去られし19世紀最後の落とし子として
客船で見つかったのが映画の主役(実際には彼のお話を語るサックス奏者が主役とも考えられるが)
なんと彼は船から降りたことがないという。
「鍵盤の数は88って決まっているんだ。だけど、外の世界は広すぎる」
陸地の大きさに大きさに恐れをなし、彼は外へ出なかったのだろうか?
それは違う。
自分にとって有意義な一生を送るために、彼は自分を必要としてくれる場所にとどまったのだ。
例えどんなに船に親しんだ人でも、嵐の中でピアノを引くスリルは知らないだろう。
外の世界からやってくる奏者を負かす喜びもない。
そして永遠でないからこそほろ苦く胸に残る恋愛も。
そう言った意味では1900は幸せだったのかもしれない。
でもね、
気になることが一つだけある。
1900よ、
お前はどうやって生きていた!?
ラスト間際で感動する家族をおいて叫んでしまった。
いや、だって解体作業が進む船だよ?
見つからないってだけでもすごいけど食べ物なんてあるわけないじゃん?
なに食って生きていたんだ?
そう考えて浮かんでくるのは、そう、タイタニック号が沈むときも客船から逃げ出していった多くの小動物
It's a rat!!
……しかもあの船の中に炎なんてあるまい。
固形燃料くらいはあるかもしれないが、
生来ピアノを弾くだけだった彼が、果たして使い方すら知っているかどうか……
なんせ彼は大人になるまで女性がどういうものか理解できてなかったくらいなのだから。
だが、ピアノを神業で操る彼の指はしなやかで丈夫だろう。
鍵盤を時に強く、そして優しく叩くのに適した指は間接部や、
筋肉の接合ポイントも楽に割り出すことだろう。
そして……
はい。ごめんなさい。もう想像できません。
ふと考えてみれば、名作も恐ろしげな世界へ突入してしまう。
そんな事実が物寂しい今日この頃でありました。