2000年12月の作品たち

TODAY  楽静2000/12/03(日) 07:14:31

止まる事の無い時に 少しだけ感謝した
私が成長できる喜びを 今全身に感じているから

何ができる?
そんな昨日までのわだかまりを捨てて
「今」って言う素敵な言葉を探し当てれた

誰だって持っているんだね
自分自身輝かせれる素敵な気持ち

昨日までの自分が愚かだなんて思わないし
今日の私がカッコいいなんて思わないけど

ただ一つ確かなことは

私は今日が昨日より好き






だけど今日は晴天  楽静 2000/12/03(日) 07:18:14

電柱に張り付くように子供が一人
震えている 鞄を背負ったままで
脱ぎ捨てられた靴は片方だけで
子供の足元には小さな水溜りがあった

でも今日は晴天

電柱に張り付く子供が一人
震えている 無関心な町角で
さっきまでは数人だった
暴力と 暴言と
悲しみと 歪んだ友情の被害者

でも今日は晴天

だれだってそう
弱いものばかりがそんをする
だけどだれだって
他人になんて構ってられない

誰が一番かわいそう?

電柱にしがみついたままの子供
泣きながら母親に抱き着くように力を入れて
電柱にしがみつく
足元には水溜り

だけど今日は晴天





ひたむきに  楽静 2000/12/05(火) 00:33:51

ひたむきに生きたい
ひたむきに
前を向いて生きていたい

誰もがそう願えば
歪んだ心も生まれずに
きっと
空真っ直ぐと見ていられるから

そう信じて私は願う
ひたむきに生きたい
ひたむきに
ただひたむきに





紅と赤の世界へ  楽静 2000/12/05(火) 23:41:21

眠れない夜に胸開いて
うごめく心臓取り出してみた

月夜に怪しく照り輝き
どす黒い血は前身を廻る 命の抜け殻捨てるため

まどろみかけた私に瞳はその赤に吸い寄せられ
ゆっくりと右手が握られていく

ぱんぱんに膨らんだエゴの固まり
凝縮された 欲望と希望の糧

音すら立てず
心臓は切れ目を作り
血は混ざり飛び出す 赤と紅の世界が広がる

私は薄く笑いながら
静かな眠りへ落ちていった





君が知らないなら僕はあえて言わないけれど  楽静 2000/12/07(木) 02:32:27

ざわめく教室で 
君と目が合って話し出す

君がいじる携帯は
甘いメロディを僕に届ける

「特別な人用」

そう言って笑っていたメロディが
僕の目の前 君の手の中鳴り出す 
君は笑う 僕に微笑む 

軽くつまむように 耳に当てて……

僕は耳をふさぐ
ふてくされたフリして 机にうつぶせて

そんな僕に君は
「寝不足なの?」
って笑ったんだ 





知らない思いは恋にできない  楽静 2000/12/08(金) 00:41:47

一足先に春が来たような顔して
君が黒板見ながら にやけてる

君が見ているのはどこか遠くで
目の前の
あの不恰好な教師じゃない事は分かってるんだ
だけど
どうしようもないくらい僕は 妬けちゃって

そんな自分が嫌だから
わざと何でもないように
「どうしたの」
って聞いたんだ

「何でもないよ」
そう僕を向いた君は誰よりも清い笑みに見えて

残りの言葉は耳に入ってこなかった





なぜか今日はつらくって  楽静  2000/12/10(日) 23:45:36

一人
たった一人で僕はここにいるのかも知れない
ディスプレイの光は いつだって孤独な僕を慰めてくれる
僕の世界から離れた世界にいる人々と打ち解けながら
僕の世界には 結局誰もいないことを思い知らされる

いつもなら笑っていられるのに
いつもなら気にもしないのに

一人
立った一人で僕はここにいるのかも知れない
キーボード叩くのはいつだって一人で
ディスプレイに浮かぶ文字も きっと僕だけに送られたメッセージ
だけど
僕の世界とは違う世界にいる人たち
僕の世界には 彼らは決して現れない

いつもなら気にもしないのに
いつもなら布団にでも入って忘れちまうのに

今日は一人
背後で聞こえる 美と狂乱の歌声と共に
一人でいる事をかみ締めている

だって僕の携帯は
今日もあの子からのメッセージを伝えてくれない





12月のある朝に  楽静 2000/12/12(火) 00:15:15
  
枕もとの携帯は今日はやけに無機質で
なんだか機嫌悪いあの子みたいに 
俺に 
眠りの国からの帰宅を催促する

耳に当てた冷たさの奥から聞こえてくる暖かい声
期待していた声とは違う でも懐かしさに心が温まる
「何だお前かよ」
言って笑った俺に しゃがれた声が小さく舌打つ

そういや今日はあいつの日
「男の誕生日祝うなんて洒落にならねぇ」
冷たい朝に負けないほどの大声
俺 なんか久しぶりに笑った気がする





希望という名の歌を  楽静2000/12/12(火) 23:24:58

街中で一人口笛を吹く
誰にも聞かれないようにそっと 希望という名の歌を

明日もまた歩いていけるように
唇から流れだすメロディーに
自分自身を励まされて

明日もここから歩いていこう
少しでも前に進めるように

そしてきっと
いつかは誰かと
希望のメロディー 奏でられるように





夕方の景色  楽静 2000/12/13(水) 23:40:57

一人ぼっちの電柱に 寄りかかって
闇に抱かれていく日を眺めている

あたえられた幸福に疑問を持たぬ子供の群れが
今日も 義務と権利の檻から家への道を 嬉しそうに帰っていく

「僕ら」という存在から 「僕」に気づくまでの安らぎは
気づいてしまった後では取り返せない楽園だから

群れて帰るあの子達の幸せが
続く事を切に願った

一人ぼっちの電柱に
寄りかかった僕のままで






誰だってきっと持っている感情  楽静 2000/12/17(日) 00:06:29

憎しみはどこから来るのだろう
この
私の体のそこから 膨れ上がる醜い気持ちは

あいつの前でかぶる仮面は いつも他人行儀な笑顔の仮面
その内側から溢れてくるどす黒い感情が
いつか仮面の外に出てはしないかと脅えている

あいつ と
その名を呼べぬほどまでに今の私は負の感情に覆われている
この感情に「憎しみ」と名づけられる事を むしろ感謝したいほどに

名をつけられぬ感情ならば
たやすくこの身を奪われただろう

憎しみはどこから来るのだろう
この
私の体のそこから 膨れ上がる醜い気持ちは

……しかし 何より私の心は
憎しみに覆われる自身の弱さに
今日も静かに涙する






淋しいね? 一人  楽静 2000/12/18(月) 23:54:41

一人は怖いから
誰かを探す私がいる

ほんの一時だけど過ごせる「仲間」
互いの笑顔の陰に隠れている感情気にせずに語り合う
何でもない会話
たわいもない 特にもならない でも
決して 不利にもならない会話
一時だけの暖かさ

……そして また一人に還る

「仲間」達の笑顔を思い出して
だけど あの時何を話したのか
どうしても思い出せなくて

やっと気づいたんだ

私は「仲間」に囲まれたまま
ずっと
一人で笑ってたんだって 





欲しいものは?  楽静 2000/12/21(木) 00:15:55


小さなガラスのコップを指でこすって
乾いた音に微笑んでいる

そんな小さな幸せが欲しい

新聞の小さなコラムに
誰かへの感謝の言葉が書かれている

そんな小さな幸せが欲しい

名前呼ばれた気がしてふり向けば
昔のあいつらが笑っている

そんな小さな幸せが欲しい

あわただしいこの社会で
いがみ合いつづけるこの社会で
別れつづけるこの社会で

小さな
本当に小さな

幸せが欲しい





LOOK FOR  楽静 2000/12/27(水) 23:58:11

探してください 私の事を
おどけた顔で 笑ってる私を

町の片隅で

恋人たちの集まる公園のスミで

そして自分の部屋の端っこで


両手をぎゅっと握り締め
何かを誤魔化すようにいつまでも
おどけた顔で 笑っている私を

探してください 私を
そして 声をかけてください

私が一人じゃないって事を
きっと
その時気付かされると思うから