2001年 一月の作品たち

エゴ 楽静 2001/01/02(火) 00:27:49

人であることに 悲しんでいる人がいる

他人が憎みあい 傷つけあい
何かを奪い合い 傷つけあい

そんな 人のサガを悲しんでる人がいる


憎しみを忘れよう!
奪い合いを止めよう!

そう人たちに語りかけては

他人同士の争いに涙している人がいる


その人は とても優しいのかもしれない

だけど とても悲しい人だ



争わずに 何を手に入れるというのだろう


幸せは平等にはやってこない
奪い合い 傷つけあい 強い物が弱い物を虐げる

そうしなければ
誰も 生きてはいけない 
そして 生きてはいない

気付いているのだろうか?

他人の悲しみに涙しながら
虐げられた人々の上に立つ自分の存在に


最大のエゴ
それはきっと
誰もが 幸せにならないと知りながら
幸せを ただ願う人のことだ





あなたの一番大切なもの 楽静 2001/01/02(火) 00:36:48

一番大切なもの 知ってますか?

あなたが
その壊れやすい心の中に大事にしまっている 誰かへの恋心より

ずっと大切なもの

知っていますか?


春が 春であるよりも

夏に 誰もが涼しさを求めるよりも

秋の あの薄暗がりの中で恋をするよりも

冬へ 置き去りにした 淡い記憶よりも

ずっと ずっと大切なもの

あなたが あなただってこと
あなたが ここにいるってこと

たったそれだけのことなんですよ






〔自分さえも忘れている事〕 2001年01月04日


町に溢れる人々は
本当の自分 いつの間にか忘れている

目の前にある「幸せ」求めて
今日も 本当はいらないものを抱きしめている


のんびりと歩く人波に いらだった顔で携帯握るセールスマン
その時だけで忘れてしまう 会話で友情繋ぐ少女達
何もかもを捨てた顔で
何か悟った気でいる若者達

誰もが 本当の自分忘れたままで
街中で「大衆」の 歯車にいつの間にか組み込まれていく

誰が欠けても気にとめられない  「群集」に
寂しさ拭うため酔うことしかできぬ「大人」に

何やってるの?

本当のあなたは あなたの後ろで

今日も
今のあなたに涙している






〔変わらないように見えても続く毎日って奴に〕 1月4日


鏡の前で微笑む練習
目の前で笑うにやけた男に 

「お前ちょっと良い奴じゃん!?」なんてお世辞言って照れてみる

それが
何でもない休日の一こま


今日も一日疲れたなんてぼやきながら
酒注いだコップに映る自分の顔に

「お前ふけてんなぁ」なんてちょっと同情半分寂しさ半分

それが
何でもない平日の一こま


なんでもないなんて言いながら
毎日は当たり前のようにすぎていく

いつの間にかなんていいながら
毎日はゆっくりと、確実に、今の「私」を変えていく

変わっていくのは本当は毎日 毎時間 毎分 毎秒 そして一瞬

ただ
誰もが気付かないだけ それとも

気付かないふりをしているのかな?
なんて少し哲学ぶるのが
私の 毎日の一こま







〔君を思うたび……〕 1月4日


君を思うたびに 僕は本当はちょっと悲しくなるんだ

君が好きだけど
君に会うと嬉しいんだけど

君を思うたびに 僕は本当はちょっと寂しくなるんだ

君はいつも僕に向かって
「おはよう」って元気に話し掛けてくれる

だからなのかな?

君がいないのに
君の事を考える時
僕は何でもない空間に 君の姿を思い浮かべる

幻は決して 僕に言葉をかけてくれないから
余計に君が恋しくなって

君を思うたび 僕は本当はちょっと泣きたくなるんだ







〔無題〕 1月4日

一人
街角を歩く事に慣れすぎている
だけど今日も
一人 歩く自分がいる

何を求め彷徨うのだろう
自分の言葉に 答えるものなどいない
それでも問いかけ 自ら答える

私は私であるという
ただその事実を確認したい
それだけなのです

歩きながら自身に問いかけ
今日も私は虚しい回答を手にする





〔雪〕 1月7日


ちらつく白き結晶が 私の耳に冷たさを残す
闇ほどに暗い 天からの贈り物
冷たさよりもなぜか優しさ残し 首もと流れ落ちていく

やがて地表を 貪欲な色で覆われた地面を
その まばゆいほどの白さで覆ってしまうのだろう

目をそらすほどに敷き詰められた 儚き者達の浄土

悲しみも 怒りも 喜びも 楽しみも
全てその 真白な肌で 撫でかき抱いていく

どんな物よりも純粋で どんな物よりも白く

私はいつも
その白さに死を垣間見る

優しく 抱くような母の手で
ゆっくりと 子の首を絞めていく柔らかな死を




の中で息をするのは……  1月7日


闇の中に 吐息をつく ……忘れないように
この寒さの中 冷たい水 凍える体を我慢して
懸命に働きつづける人がいる事を

私はまだ人間の途次にいるに過ぎないという事を

服を何枚重ねようと この内から来る寒さは 決して癒されない事を

忘れないように 私は闇に吐息をつく

暗闇の中にそっと 白い空気が浮かんで消えた





もう 戻れないって分かっているけど
               楽静 2001/01/07(日) 01:27:37

街中をすり抜けていく風は
どこかよそよそしい匂いがした

私達はいつの間にか
町という名の迷宮に捕らわれていて

だから

外から吹く風は
やけに 違和感を覚えさせる


淀みつづけている場所にいるから
変わりつづけるものに 不快感を持つのだろうか?

なぜいつの間にか こんな場所で
風の音すら感じぬこんな場所で
私は迷っているのだろうか?

街中をすり抜けていく風に
あのころ その心地よさに目を閉じていた自分を思い出した





今日、別れたあいつから 
  1月10日


さよならを言いつづけるたび
僕らはだんだんと強くなっていく

夕日に背を向けて歩き出す友は
そんな言葉を残していった 寂しそうに歩きながら

強いって言葉の中には なぜか
報われない寂しさが含まれている

もう会えないと知ったとき
僕らの 行くそれぞれの道がまったく別のものだった時

僕らはいうんだ 「さよなら」と

きっと
別れるたびに、だんだんと強くなっていく事を信じて





簡単な幸せ  1月10日


日の傾きにあわせて 人々は生きているわけじゃないけど
なぜか一日の終りには 俯くようなつらさが待っている

朝 いつだって だれだって 思う
「今日はいい日になるかな?」

結局今日もいつもと変わらなくて
俯く背中に日が当たる

だけど
それもまた一つに幸せなんだよ

変わらないこと
毎日が、毎日で続いていく事
それも
やっぱり一つの幸せなんだと思う

そんな気がする今日は
なぜだか 太陽が少し妬いてるように見えた





街中のいびつな選択人 楽静 2001/01/10(水) 23:38:55

一人で生きるもどかしさを
一体誰に語ればいいのだろう?

街中に香る 腐食した思い達は
いつだって 知らぬ間に誰かを巻き込んでいく

誰かを傷つけずに生きることなど
結局無理だとわかったのだから

一人で生きる事を諦めて
この気持ち 誰かに語ってしまおうか?

うずくまったまま動かない人々の目は
見上げた町の大きさに だんだんとくすんでいく

「これから」 なんて何度唱えても
結局誰もが 破滅のロンドからは抜け出せない

ならばいっそ誰とも語らずに
この思いを 抱きしめたまま地へ潜ろうか?

一人で生きている間に
思い 感じつづける 様々な事を

だけど結局 そう結局
誰にも語れぬままに

今日も
私は一人で生きるかどうかの選択をしている





この世界が例え汚れていても 楽静 2001/01/16(火) 00:08:02

誰かに対して恨み言を言ったり
世の中が不平等だなんて悪態ついたり

そんな

自分を醜くする行為はやめよう?

誰だって何かを耐えて生きている
昨日仲良くなったあのこのために傷ついた人だっている

世界はまるで身勝手で
だけど 自分もそんな世界で身勝手振りまいて生きているんだ

愚痴なんて簡単にこぼせる
泣き言だって 言うだけなら誰だってできる
辛辣な言葉?
結局それも君がはじめに言い出したものじゃない

どんなに薄汚い言葉を使って罵ったとしても
言葉はあくまで言葉のまま
冷たくなった心が 君の輝いた瞳を濁らすだけ

何もかも諦めろって言うんじゃないんだ
誰だって
心に翼を持っているから

ちょっとだけ 羽を広げて
傷ついている誰か 包んであげよう?

俯いた顔が君を見上げて微笑んだなら

きっと
僕達は互いに互いを癒しあう





空の高さに…… 楽静 2001/01/22(月) 23:16:54

空を見上げて その高さにめまいを覚える

どんなに高い建物の上でも
天は、とても高く見える

神は何処にいるのだろう?


月に降りた人類は、そこで神話の崩壊を知った

天はただ高いだけで
何もありはしなかったのだから

だけど
空を見上げて その高さにめまいを覚えた

一人のちっぽけな人間では、とても届かない何か
その瞬間に感じた「何か」は
きっと、空の高いところに確かに存在するのだろう
そう私は思う




人は見えない翼を持っているんだ
                楽静 2001/01/28(日) 01:42:03

君の羽は飛び立つごとに 汚れ
風を受けるごとに傷つき
そして その白さを羨むものの視線に
徐々にくすんでいくだろう

しかし翼を持つものよ 決して汚れる事を恐れるな
傷つく事を嘆くな
くすみつづける己から逃げるな

飛びつづけること 明日へ向かい羽ばたく事で
お前は何者よりも 遠くへ行く事ができる
待ち受ける試練に耐えながらも
徐々に強く気高い魂を持つことだろう

だから翼を持つものよ
その翼を何よりも誇れ

そしてまた飛び立つのだ
明日という日へ
「希望」というなの翼を羽ばたかせて