2001年 七月の作品たち

空の蒼は青ではなく   楽静   2001/07/02(月) 23:56:31


どこまでも
どこまでも
蒼は蒼くて
そんな
あたりまえの事なのに
嬉しくなる私がいます

「都会の空はスモッグだらけだから
 本当の青は見れないんだよ」

昔あなたがいったこと
本当は今も 
そう 今だって信じているけど

この蒼は 青ではないから
私の蒼はこの空だと
そう思ってもいいですか?

おごりでも
思い込みでも
いいのです

真実を知らないのだと嘆くよりも
私は
青ではなく
蒼を知っているのだと想いたい







ふと気が付いた自分     楽静  2001/07/09(月) 01:52:49


誰かの優しさにつけ込むような
そんな人にはなりたくなくて

誰の優しさも受け入れない人になってた

誰かを悲しませるような
そんな人にはなりたくなくて

笑顔以外浮かべられない人になってた

何になりたかったんだろう
顔に張り付いた仮面
心配する人に背を向けたまま

私はどこへ行くのだろう?

問いかけはいつも何処かへ消えて
私はいつも

忘れていたように笑顔浮かべる








もう一人の僕は皆の知る場所に  楽静   2001/07/09(月) 01:59:47


仮面

あがくほどに
貼り付けられた苦しみは
締め付けてくる

始めは小さな違和感だった
まとめられた原稿の
その角に指先を当てたような
小さな
痛み

やがて痛みは胸に食い込み
骨に染み込み
心を
人が心のありかと指差す場所を
すこしづつ
すこしづづ
侵しはじめた

止めたくても
剥がしたくても

仮面は冷静な笑いを浮かべたまま
鏡に映った僕自身をあざ笑う

痛みを堪えて
息もつけずに

でも
写真の中ではいつも笑顔で

仮面
いまだそれは剥がれず

仮面
やがて僕はそれに飲まれる


もう
剥がす事さえ諦めている

仮面
そして 痛み








想いが裁けるのなら僕はいらない  楽静 2001/07/09(月) 02:10:19


笑顔で君を勇気付ける
笑って欲しいから愛しつづける

周りの誰もが悲しまないように
笑いを振り撒く
決して僕が
痛みを感じる事を気付かせない


それを罪だと
誰が僕を裁けるのですか?


「本当の事を言ってよ
 私を信頼しているのなら」


信頼なんて言葉は
いくらでも君にいえるよ
だけど僕は君に痛みを吐けない

だって君が好きだから

「どうしたんだよ?
 大丈夫か? ちゃんと話してくれよ」

元気だよ
大丈夫だよ
なんて言葉で安心しない事も知ってる

だけど僕は言えずに困った笑みで
決して僕の痛みは吐かない

だって皆が好きだから


話せないのは罪ですか?
信頼とは全ての吐露をさすのですか?

想う事とは
相手を大切に想う事とは
全てを掌中に収める事を言うのですか?

だったら僕は
そんな想いはいらない

誰からも背を向け
誰にも笑わず
誰にも
想いを見せたりはしない

だって僕はいつでも
僕の想う人には笑って欲しいから


秘密とは罪ですか?
僕の想いは 認められない想いですか?

だったら僕は
僕の想いは

ココニハイラレナイジャナイデスカ ね






アンチ         楽静 2001/07/15(日) 13:20:41


何も正しくないのなら
何も夢に見たくない

何が正しいかもわからないのなら
明日に思いをかけたくない


きっと


何かがあるって信じていた少年の
すんだ瞳がにごるよう

私の日々は爛れ
醜い何かを吐き出していく







嘆き ……逝ってしまったあの人へ  楽静   2001/07/20(金) 01:51:08


胸の中にあるのは ただ空虚
一瞬先まであった凍りつくほどに冷たい想いを追い出したら
今の私には 何の気持ちもなくなってしまった

頭の中で 思い浮かべる一つのシーン
上下しない胸
感じぬ吐息
冷たくなっていく体
やがて固く そして力は抜け 燃え盛る炎の中に押し込まれる……

胸を内から打つ冷たさに
私は思わず胸を開いた そして今は空虚

空っぽの闇の中から
私は
自身の嘆きの声を聞く