2001年 12月の作品たち

街の中で    楽静 2001/12/01(土) 00:22:11



安酒で煽られた日々
使い捨てられた私 還ることのない時
虚ろになった瞳のままで
町を見渡す 何も見えずに

悲しみを隠しすぎて
喜びを覆いすぎて

今の私は空虚

使い捨てられた 街の抜け殻





君を見て    楽静 2001/12/03(月) 23:56:54


キャラキャラ カッカ 駆け抜けていく
輝くカバン 煌めいた君

風を受けて 絡まる髪に
くゆらせている 君の指

昨日見た君 今日会った奇跡
固まる僕に 勝ち誇る笑み

キャラキャラ カッカ 君はゆく
輝くカバン 煌めく笑み

固まった僕を残して……




欲望という名の君へ   楽静 2001/12/07(金) 03:10:42


君が僕を好きだというほど
僕の首はしめられる

報われない思いなのに
なぜ君は僕を選ぶ?

僕の肩に乗った手
潤みながら見つめる瞳
だけど僕の心は固く
優しい君を寄せ付けない

君よ
哀しげにいつも去っていくその後ろ姿よ

君の思いに答えることは僕にはできないのに
なぜ君は想い続けるのか

君が僕を好きだというほど
僕の首はしめられる

僕が呟いた言葉に君は寂しそうに笑ったね
「そんなに嫌い?」

好き嫌いの問題だけじゃないんだって気づかない君
そんな君に
今日も僕は背を向ける





積み木     楽静 2001/12/14(金) 05:03:53


積み木のように重ねた夢を
どうか壊さないでいてください

色とりどりのブロックが
やっと造った小さな塔
その中にどんな想いが入っているのかなんて
私も
きっとあなたでさえも分からないではいるけれど

時にため息で造られた
積み木のように重ねられた夢達を
どうか壊さないでいてください

あなたが造ったその小さな塔の上には
きっと暖かな陽が昇るはずだから




予定表の空欄     楽静 2001/12/23(日) 21:31:26


やっと開けた空欄
何も書かれていない日付
期待と 喜びと ほんの少しの気恥ずかしさで見ていたのに
右手に持ったのはボールペン
黒くて なめらかなペン先が
塗りつぶしていく
黒く
この日が無くなるように

「ごめん」
希望が砕けるまではたった数秒
大切にする日を間違えただけ
そんな
言ってしまえば単純のことで僕らの喜びは消えてしまう

「今度はいつあえるかな?」
不安げに聞く君
わざとらしく陽気な僕
そんな不安定な時間が早く過ぎ去ることを願う

また一週間が始まる
横に君がいないまま
塗りつぶされた予定表

ため息も時を剥がしてはくれない



冬の雨      楽静 2001/12/25(火) 23:21:36


雨の中
君が濡れるのが恐くて傘を差し出す
けれども君は苦笑して
僕の方に傘を動かす

君が濡れるくらいなら
そう思った僕の方は濡れていて
今は傘が雨を防いでる

そんなほんの少しの行動が
いつも僕を嬉しくすること

君は気づいているんだろうか?