2002年 二月の作品たち
逃げ出した小鳥は生きられるだろうか? 楽静 2002/02/11(月) 03:07:06 逃げ出した小鳥は生きられるのだろうか? 檻の中から自由を求めて 青い空に夢を求めて 真の安らぎと 誰からも抑圧されぬ精神を求めて 逃げ出した小鳥は生きられるだろうか? 青いその目が僕を見上げて 次の空へと小さな頭を動かした 渇望する自由 熱望した未来 そのすべてが僕の腕の中で 小さく躍動する命とともにある そう“ある” 君は今ここにいる 僕の手の中 自由とは程遠い場所 それでも 僕は手を離せば君は自由だ 青い目が僕を見上げる 手を離そうとした瞬間僕は思う 逃げ出した小鳥は生きられるだろうか? 僕を見上げる青い目 明けはなれた窓 ……自由とは程遠い今日の天気 傷ついたあの日 楽静 2002/02/13(水) 02:59:08 哀しかった 悔しかった 寂しかった 君が 「さよなら」 って言った時は 夕暮れの改札だった まだ時間的には余裕のはずなのに 何度も時計見ていった君 「帰らなきゃ」 の一言に 「まだいいだろう?」 って言った言葉に 君は小さく苦笑して 「さよなら」 そう そしてそれっきり 哀しかった 君が 僕にさよなら告げたと分かったから 悔しかった 君の 思いを僕は理解なんてしてなかったから 寂しかった 暗闇に溶け込む町を たった一人出歩いていくのは だけどそれは僕の罪 忘れてはいけない 僕だけの咎 ねぇ もしもまたやり直せるなら きっと僕は君に言う 「またね」 振り向かずに歩いていった君に 精一杯の強がり それだけが 今の僕に これからの僕にできること ・・・そんな男らしくないこと考える僕は 今日も いくつ物「傷ついた心」抱えている 目の前にはストーブ 楽静 2002/02/13(水) 23:25:37 ストーブの温もりを感じています 赤い光とともにほどけていく手先の冷たさ スリあわすたびカサカサと小さな音立てて 物語をつむいでいた指先が ゆっくりと伸びていく のんびりと温まって 爪先にやがて戻ってくるピンク色 そんな 小さな温もりを感じています 「寒いんだから靴下はけよ」 赤ら顔の父親が 片手にビール持って 怒った顔を無理に作ってる だけど私の目の前はストーブで あなたの顔よりストーブで せめて手先が温まるまで ストーブの温もりを感じていたいと思ってます 形だけのモノが欲しい? 楽静 2002/02/14(木) 20:46:35 形あるものが大事なら 私の心臓をあげる “気持ち”なんて見えないものだというのなら いいよ 胸からこの心臓を持っていって 宝石なんて送れない 手紙なんて書けない だけど いくらでもあなたのために傍にいる それでも形が欲しいなら いいよ 私の心臓を持っていって だけど鼓動は一つきり あなたのために一度きり そして私はあなたの前で 形だけの“モノ” それであなたの気がすむのなら あなたを想った私の負けだと覚悟するから いいよ 私の心臓をいつでもあなたに差し上げます 僕にしかできないことを教えてくれる人 楽静 2002/02/15(金) 23:51:32 僕に何ができるのかを 教えてくれる人がいればいいのに 僕だけにしかできないこと 僕が 僕であるために必要なこと 教えてくれる人がいればいいのに それが分かれば毎日は素敵だ 夕日を見ても不安にならない 飛び立つ鳥を追うこともない だけどそれが分からないから 僕は 何をしようか 何ができるかわからないまま 両手を前に突き出している 僕にできること 僕にしかできないことを 教えてくれる人がいればいいのに 一家に一台 毎日同じ言葉を繰り返す 機械仕掛けの目覚ましのように 夢からの別れ 楽静 2002/02/16(土) 23:00:12 夢を見たままでいたかった 春の風にまどろむ子ネコの様に かすかに揺れる風のハンモックに揺られてたかった 目を覚ましたのは夕暮れ 真っ赤に燃えた空の中で 黒いものたちが空を駆けていく なにを求める? なにを求める? ひっきりなしの泣き声が眠りをきり壊していく 泣きそうな顔で外を睨んで 寝ていた布団に目を落とした なにを求める? なにも求めぬ? 空を覆う泣き声 私自身も泣き声 すでに夢は意識の外で また現実の中 「穏やか」にあこがれたまま喧騒に飲まれていく うつろに向いた枕がなぜか濡れていた 受け取った柔らかい想い 楽静 2002/02/18(月) 21:59:47 心の中に 小さな小さなグラスがあって 今 ゆっくりと温もりが注ぎ込まれた それがあなたへの想いです 小さな炎を隠したような 蛍の光を包んだような 内側から暖めていく柔らかい火のような 漏れ出したばかりの細い光のような 火の舌にくすぐられるようなこそばゆさ 暗闇の中かすかに でも確かにあると分かる光 言葉にするには小さくて 他人からはまるで見えはしない想い それがあなたへの想いです 頼りないけど 小さいけれど でも それはなくならずにあり続ける この想いに どうか気づいてください 今度は私があなたに注ぎますから 物語の終わり 楽静 2002/02/19(火) 23:29:59 物語が終わるとき 心から剥がれていくいくつもの想いたち 形あったはずのそれらは 漂いながらその存在を空にしていく それは名前 それは表情 それは身体 「僕は結局君らじゃなかったんだね?」 もはや影になってしまった元は僕だった者達へ 僕は笑い そして何かを落としていく 彼らへ決して答えを返さず やがて また再び陽を浴びることを信じながら消えていく 動き出す物語の輪 つむぎだされるいくつもの 人 人 人 僕というちっぽけな存在の中に閉じ込められた多くの影を また 僕は消費し書き続けるのだろう 物語を そして未来を 久しぶりに会った友へ 楽静 2002/02/20(水) 23:38:07 久しぶりに会った友に 「変わってないな」って言える喜びを知った 一年 365日の朝と夜のダンス 変わらない表情 あいつらしい服 そして 昨日も一緒だったような会話 「俺ビックリしたんだよ」 「なにが?」 「いや、隣の家のな……」 会えなかった日々取り戻すよう 僕らはたくさんの話をした それでも取り戻せない日々のため 心だけは昔に戻した これからもたまには会って話をしよう そう結論づけて帰る僕らの上で また日々はダンスを踊る それでも君は僕の友 共に日々を語り合う人 恋人への聞こえない息 楽静 2002/02/25(月) 00:14:07 あいたい 単純な気持ち 一言の言葉 あいたい 別に飾り立てる必要はない だけど喉から出ても君に届かない あいたい 今から走ろうか? 森の狼に運よく会わずにいられるならば あいたい 君に 君の腕の中に入るために あいたい 単純な思考 簡単な言葉 だけど いつまでたっても君に聞こえない溜息 聞こえてますか? 楽静 2002/02/28(木) 01:16:03 聞こえていますか? 私の声が この歌声が あなたを想うこの歌詞が ふるると はららと 木々をビルを通り抜けて いつか いつかあなたへ届くと信じて 私は歌う あなたは気づく? 気づかないのなら歌い続ける 聞こえていますか? 町の中で あなたからはあまりにも遠いこの場所で 私はまだ あなたを想って歌っています いつか気づいてくれることを信じて |