2002年 四月の作品たち

引越しの日 楽静 2002/04/03(水) 20:43:52


塗りこんできたいくつもの色にさよならを告げた
痛みも残るキャンパスは古臭くってカビの匂いがした

笑ってみた私の残した色たちを
私を引き戻すことは出来ないあせた思い出
もう見ることはない日々の残骸
ピリオド打ちたくて振り上げたナイフ

振り下ろせずに私は泣いてた

「さよなら」
答えるはずないのに呟いた私に
黙ったままで見送る過去の私
もうここには戻れない
明日は真白の私の前

私はまた痛みと共に日々を塗りこめるんだろうか





横浜からの富士山AM5:00
          楽静 2002/04/19(金) 23:36:07


白じんで来る空の下で
右手に持ったカップ酒を飲めないまま
固まってる
これほど語れないものを
見るとは思ってなくて

美しい?
可愛い?
綺麗?
素晴らしい?

ありきたりの言葉だけじゃ
あらわせない感動を胸に覚えて

光に渦巻かれながら
幻のように揺らいだ山の頂へ

「乾杯」




オーバー     2002年4月21日


傘越しに嗅いだ香りはどこか死の匂いがした
不安になって覗き込んだら
雲が朽ちた太陽を隠していた

世界は死んだ

誰かが言った戯言を
本気にしたくなる日

今日まだ君からのメールが来ない




無題   2002年4月24日


何にもない
そんな言葉に慰められて
町の中
歩いていく背中に夢を授けて
何にもない
だからもう崩れそうだよ

受け止めて欲しい
誰になんて分からない
瞳の中で平気で嘘をついた
哀しいくらいに真っ青な今日の空

君の手に繋がる手は僕の手じゃなくて
あきらめて投げやりで

何にもない
呟くんだ

生まれたときから一人
だったら
もっと楽だったのにね