2002年 9月の作品たち
名も無い花 楽静 2002/09/07(土) 23:54:20 見つけたよ そう言って君が見せた小さな花びら 名前も知らない美しさに 僕はただ首を傾げただけだった 汚れた君の指先にも気づかないで 疲れた君の顔にも背を向けて いつのまにか こんなに遠くまで歩いてきてしまったんだね 君が見せた花びらを 僕はもう二度と見れない 見つけたよって君の言葉 もう一度だけでも聞かせて欲しい 例えそれが名も無い花でも 今なら君の心に気づけるから 後ろ向き自己主張 楽静 2002/09/09(月) 23:00:02 あきらめてもいいかな? 僕の夢 抱き続けていた小さな花 朽ち落ちる前に 自ら手折ってしまってもいいかな? 弱気になるのは明日があまりにも近くなせい 鏡の前に立ったら なんでもない僕が力ない笑み浮かべて立っていた 僕が今まで得たものよりも 僕が失ってきたもののほうが大切だって そんな気がこの頃するんです あの時浮かべていた笑顔よりも 今の笑顔はくすんでいるって そう寂しくなることがあるんです 夢を失っては生きていけない だけど 夢を持ったままでも生きていけそうになくて 力ないまま うなだれたまま それでも明日にかすかな光を見て 僕はここにいます 君はどうかな? 電車のおじさん 楽静 2002年9月9日 電車に座ったまま眠り続けるおじさんがいた 横に座る人に寄りかからぬようバランスを取って 疲れきった瞳はアナウンスに開くことも無く だらけきった口から時折生ぬるい息が漏れていた あまりにも惨めで あまりにも情けなくて 目をそらしながら あんな大人にはなりたくないと誓った日 振り返れば 一日一日と 僕はあの電車のおじさんに近づいている 今日 電車の中で寝過ごしました 今日 電車の中で立ったまま寝ました 今日 見知らぬ人に寄りかかって寝てました あと何年くらい 僕はあのおじさんにならずにすむのだろう 疲れきって 口開けきって まるで意識の内側で寝ていたおじさん 僕とあの人の違いはなに? 問い掛けたって 誰も答えてくれない問い 僕だけじゃない 誰にでもある近い未来 君へ届けたい詞(ことば)は言葉 楽静 2002/09/13(金) 23:53:39 うつむいて 自分の影にさえ怯えている君に 伝えたくて でも言い出せない言葉があるんだ 辛くても諦めないで 寂しくても投げ出さないで 泣いてもいいから 詞(ことば)にすれば簡単なのに 言葉にするたび口から出なくて 遠くの君 この距離と同じほどに心は遠い 見えない君の心の中に 届けたい詞(ことば) いつか言葉のままで I Hope... 楽静 2002年9月13日 愛されたいと喘いでた 掬っても掬っても心は満たされなくて いつのまにか愛情が不安に変わっていく 「愛している?」 そう何度も聞いたのは僕 そのたびに君は答えを返す 同じ調子で 同じ気持ちで 分かっている 僕が悪いってことくらい 分かっている 満たし続ける想いなんてないってこと 掬い続けた君の想い 確かめても確かめても満たされなくて やがて君が先に枯れ 僕らは 幸せだったはずの昨日を砂に戻す 僕は知らなかったんだ 愛されたいって願いがこんなにも残酷なんて 闇の中の日々から 楽静 2002年9月13日 振り向いた道は闇に閉ざされていた 諦めて前を向いたらただ闇が広がるだけだった どこへ行けばいい? 何に問い掛けるというのか 答えの出ない問い掛けはただ空虚に闇へと解けていく 闇は暗い 暗さから肌へと何かがまとわりつく けれど不快は無い 忘却の心地よさが徐々に体を蝕むのみ この場所はあまりにも心地よすぎて 一歩先の不安から逃げるには絶好の場所になる どこへもいけない ならばどこにも行かなきゃいい あきらめとほんの少しの安心と そんな一時の気まぐれで僕はその場に立ち尽くした そして君がいた 君はただ僕に手をさし伸ばしただけだった 光は見えなかった ただ触れた君の手があんまりにも暖かくて 僕は闇の冷たさが嫌になっただけだった 君と一緒なら歩いていける いつも前を歩いていく君に悔しさと一緒に囁いた 君はただ振る向くことなく 闇に囚われたままの僕へと優しく声を返した 「私も」 だから僕は今も 知らない日々を生きている 赤子の歌 楽静 2002年9月13日 埋もれたばかりの赤子が 泣いている お母さんはコインロッカーに入っています 手首は120番に胴体は大きかったので12番に 朝になれば血に濡れた駅には人がたかるでしょう それまでどうか赤子よ よく眠り夢を見なさい 血の夢を お母さんは君の目の前で死んだんだったね? 生きたまま切り刻まれていくモノへ 赤子は瞬きすら返さなかった 夜が明ける 泣き声が止んだ そして僕は生まれました スイートソング フォー ユウ 楽静 2002年9月15日 君のための歌なんだから いいじゃないか あまりにも甘すぎていたって 現実が見えていないって顔を伏せるけど 僕の正直の気持ちなんだ お願いだから受け止めて欲しい 僕の弱い心が壊れるほどに愛しているよ 君の事思うだけで幸せになって不幸になれる 一瞬一瞬君に惹かれていくよ いつまでも君を想って―― ありふれた言葉ばかりで作られた甘い歌 だけど 君にしか聞かすことない僕の心 忘却の罪 楽静 2002年9月15日 何気ない僕の言葉が きっと君を傷つけた なのに僕は 君に言った言葉が思い出せない 最後の電話で君に言った言葉 君を傷つけただろう僕のナイフ なのに僕はいつまでも 君に言った言葉を思い出せない どうしてだろう? 何度頭を悩ませても君は捕まらなくて どうしてだろう? 君を振り向かせたい言葉が見つからなくて泣きたくなる 君がこんなに大切なんて僕知らなかったよ 君が傍にいるから生きていけるんだって今ごろ気づいたよ これが喪失「LOST」なんだね 君がいない一日を終えて 僕は徐々になれるだろう痛みに涙こぼした 懐かしき友との一日 楽静 2002/09/16(月) 13:06:24 何年ぶりかに初めての場所で僕らは出会った 照れくさそうに笑う君の前で 僕は戸惑いを必死に隠して立っていた たぶんそれは君も同じなんだろう? 変わりすぎた君を僕は笑って 変わらなすぎる僕を君は笑った 今は面白いかい? 毎日は大変かい? たずねたいこと一つ一つをカードにして 小出しにしながら顔色をうかがってる 友情が消えたわけじゃないけど 僕らが一緒に帰っていたあの頃には戻れない そう思い知らされた 「飲もうか?」 君が言って 「飲もうよ」 僕が返す いつのまにか僕らはお酒で本当を語るようになっていた 寂しさよりも諦めで 僕はビールを一本空けた 次僕らが会うときはいつだろう? 想像もつかない未来で 今度こそ2人が他人にならないことを願いながら 乾杯 澄んだ音が思い出に解けた秋の空 孤独の夢追い人 楽静 2002/09/21(土) 00:11:59 夢を忘れぬよう走り続けるうちに いつのまにか 周りの見えない自分になっていた 夢を追うことだけが楽しくて 夢を掴むことだけに精一杯で 頭の中は夢だけで 心を占める不安は夢を失うことばかり そんな自分になっていた 交差点で立ち止まったとき ふと周りを見渡した たった一人私は立っていた たった一人ここに立っていた 誰かを呼ぼうにも 私は誰の名前も思いつけなかった 無言の波に私は飲まれ 孤独の鎖に縛られた ああそうだ 私は夢を追わなくちゃ ぼんやりと浮かんだ考えに 今の私は立ち尽くすだけ 交差点で誰かの助けを今も待っている 忘れてもいいかな? 楽静 2002年9月25日 君のことを思うたびに感じた胸の痛み もう忘れてもいいかな? 痛みに顔をしかめるたびに いつも何かがなくなっていたんだ 哀しいとか寂しいとか そんな言葉ですむものなんかじゃなくて もっと もっと遠くに確かにあったもの それが何かなんて答えられない 無くなったからって何が変わったかもわからない だけど僕は いつのまにか昔の僕ではなくて…… 理由(わけ)なんて長すぎて語れない もしかしたらたった一言に過ぎないのかもしれないけど 君のことを思うたびに感じた胸の痛み もう忘れてもいいかな? 応えない君 嘘みたいに晴れた君がいる空 忘れてもいいよね? 楽静 2002年9月25日 君のために生きる日々 君がいないのに過ごす日々 君に触れられないって右手が気づくたびに疼く胸 もう忘れてもいいよね? どれだけの時がたっても 決して忘れないって言った君の事を 今宵限りで忘れたいんだ 「忘れてもいいよ」 別れるときに言った君の言葉を 今日はやけに理解できている気になれるんだ 二人でいるとき君が解らなかった僕が こんなにも君を感じられるなんて不思議だね もう君を忘れてもいいよね? でも 君を忘れたら僕はどこに行くんだろう―― 答えを探して 楽静 2002年09月27日(金) 00時31分54秒 君が振りかざしたナイフに 僕は黙ったまま貫かれた 「何で黙っているの?」 そう言って泣きながら君は 流れていく僕の血をすくった 何で泣くの? 僕は君の涙が見たくなくて だから 君の思い通りにしたはずなのに 止めて欲しかった君 君を分かれなかった僕 あれから僕らは互いに違う場所を選んだ だけど 過ぎ去った過去の疼きを抑えながら 僕はまだ あの時の君への言葉を捜している |