2003年 四月の作品たち

想々    2003年4月3日


君のことを想うだけで生きていける
振り向かないその笑顔を
横顔だけでも心にとどめて

この想いが恋だなんて
そんな大それた事を言うつもりはないけど
君のことを想うだけで生きていける
たとえ
君が僕のことを見なくても





願っていた頃とは違うけど  2003年4月5日


頭がよくって足が早くって
かっこよくって優しくて
そんな人になりたいなんて
願っていたときもあったっけ

気がついたらいつの間にか
よく分からなくなっていた
頭がいいわけじゃないし
足だって速いことはない
カッコイイなんてよほど遠くて
優しさはいつも上辺ばかり

それじゃなにもいいとこないじゃん?
だけど僕は
何にもかもを望んでいたときの僕よりも
僕が好きだってわかるから
いいよ
それだけでいいんだ





迷い続けている君に   2003年4月7日


迷っている君を誰かが
「何もできない」なんて決めつけてたね
思わず俯いてしまった君に
僕の言葉が届けばいいけど

気にすることはないんだ
君に出来ることいくらでもあるから
やりたいことが有りすぎて
ただどれから手をつけていいか分からないだけだろう?

だったらまず手を伸ばして
一番始めに触れたものから始めればいい
例えばそう
親から与えられた愛情を
投げ散らかして遊んでいた子供時代のように
君だけのおもちゃ箱が未来にあるから
あせらないで
手を伸ばしてご覧?

もしも
何かを掴むことに勇気が必要だというなら
いいよ
僕が君の側にいて上げる





言葉重ねて    2003年4月11日


「愛」なんて言葉いくつ重ねたら
本物に届くのかな?
知りもしない真実求めて
街の中今日もさまよってみる

「恋」なんて言葉いくつ重ねたら
友達から二人はただの男女になれるのかな?
一緒にいる時間が楽しすぎて
別れるたび忘れていた痛みが突き刺さる

「僕らは」なんて言葉いくつ重ねたら
変わらない答え見つけられるのかな?
カテゴリー分けしたフィルターの中
色あせた目で群にとけ込んでいる

「いつまで」なんて言葉いくつ重ねたら
見えない未来を夢見れるのかな?
日々は流れて
僕は一人で
強がるばかりで
君は無邪気で
ただ
いくつもの重みのない言葉重ねて

ようやく今日も夜に眠れる





叫び     2003年4月21日


他人に興味なんて無い
くだらないことを叫んでいたりはしたくない
腹ばかりたたせて
世の中にはうんざりばかりで
自分自身が嫌になる
そんな
くだらない人間にはなりたくはない

自分だけを昇華させたい
自分のことばかり考えて
自分のためだけの叫びを空に

叫んでいるうちに
悩みも遠くに消えていた
つまらないって切り捨てたものたちが
いつの間にか元あった場所に戻ってきていた

徹底的な自己嫌悪の後にやってきた
決定的な自己憐憫

そうだね
言葉になんて意味はない
分かっているから今日も叫ぶ
使い棄てられた言葉ばかりの叫び
意味のない日常の
意味のない一こま





「成長」    2003年4月22日


漠然とした未来に不安ばかりが膨らんでいた
何が出来るかと自分に言い聞かせてばかりで
具体的な道など一つも見つからないまま
思い出したようにつく溜息は
やけに重たく鉛の色をしていた

あれから時が流れて未だ一人
何が変わったというのだろう?
「成長」という言葉に隠された
幻想に気づいた今
見上げた空の変わらぬ美しさに比べて
あまりにも空虚な心をただ笑った





詞(ことば)遊び   2003年4月27日


帰り道で停滞
車はまだ渋滞
君の事だけ見ていたい
明日までに帰りたい

何をここではじめようか
うれしい休みが連続八日
くだらないことばかりして酔うか
二日酔いで倒れようかなんて……

言葉遊びに惑わされていた
僕はいつも否定されていた
お前に詩はつくれないって
言葉をただ吐き出すだけだって

それでいいよ
ただの言葉で
僕の詞(ことば)で
誰か笑えるなら
難しいこと言う気はないし
考えていても誰も分からないから
僕は言葉を重ね続ける

いつだって待ち合わせは痛い
待ってる間僕の言葉聞きたい?
君のために重ねるよいつも

例えそれが無駄と笑われても