2003年 12月の作品たち
少年 2003年12月4日 一人きりで座り込んで 裸足のまま 夕焼けの中 枯れた水たまり覗き込んで 一人のまま 公園の中 諦められず空を睨んだ一人きりの半ズボン 何が降るのか 喜びなのか 口を結んで 声を抑えて 通り過ぎる仮面の中で 黒い瞳に何を移して―― ほころんでいくえくぼ残る口元 夢の晴れた現の中 手を挙げた少年に降るものを 見つけられないまま 独り 座ったままの私は腕を組んだ 冬の中の温もり 2003年12月14日 暗闇は足先から冷気をそそぎ込んだ 白く息は瞬時に空に溶けた かじかんだ指先を暖めるようポケットに入れたら 余計に2人の距離を感じた それでも胸の温もりが ゆっくりと 本当にゆっくりだけど 体を温める 心が笑顔を導き出す 見つめる瞳に力をくれる そんなふうに僕が 僕の周りの冷たさを追い出せたのは いつも大丈夫だって笑ってくれる 君の笑顔 デジャブ? 2003年12月14日 初めて恋を知ったような顔をして 僕らは何度目かの熱におかされる 使い回した言葉をどうにか洗い回して どこかで聞いたような会話に気づかない振りをして 言葉でしか想いを語れないから いくつもの思い出に目をつぶって 何度も誰かに投げた言葉を繰り返す それでも君は笑ってくれて それでも僕は笑っていられて だからいいよね? 自分自身に言い訳をして 何度も口にした歌を繰り返す 結末の違う再放送ドラマ そんな都合のいい夢を 必死に空に祈りながら 飾り付けられたツリーの下で 2003年12月15日 闇の中で光る人工の星 木々の間で連なるように 溢れるように 永遠を語るように熱を持った星の下で 永遠に届かない何気ない会話 星が消えるまでのつかの間の夢物語 星の下で君が笑う 作られたモノばかりの中 その笑みだけが煌めいた 途端それまで目を奪っていたすべての眩さは どこか遠くに飛んでしまった 光が消えるまではきっと数分 だけど 僕らの時間はきっとこれから そんな不思議な確信に 僕らは笑う この現実まで消えないように 願いの欠片を集めて願う 2003年12月22日 君を好きだと分かった瞬間 僕は自分で自分を殴りつけていた そんなわけがない ありえやしない 否定のナイフを何度となく自分に向けて それでも君を見つめてしまう自分を叱咤した そんな僕の目の前で 君は 何も知らずに笑ってくれた 無数の刃があまりにもあっけなく崩れ落ちた 取り囲んでいた否定の言葉が消えていく だって胸に宿った喜びはただまっすぐに まっすぐに君を指している そう何時だって 僕に何かを気づかせたのは 君の笑顔 君の声 君の姿 だから僕は 僕のすべてをかけて君を守りたいのです 大切なことを いつも何でもない顔して教えてくれる君を ただひたすらに 僕の想いのすべてをかけて どうか 僕の前では君が何時でも笑えますように 言葉遊び2003 2003年12月23日 あたりさわりのない言葉で いつも君と話しているけど しっかりと伝えなくちゃいけないことは てれずに言うよ言えたらいいな まじめぶるのは性に合わない僕だから すこしもらしくないけど……今はそれで許して 自己否定への反逆 2003年12月25日 自分に厳しすぎるあなただから いつも自己否定を繰り返す 捻れたロンドに引きずられて 歪んでいるあなたの笑顔 あなたが自分を厭うなら 私の好きなあなたを好きでいればいい 例えば鏡に映る姿が嫌というなら 私の瞳に移るあなたを愛せばいい もしもあなたに嫌いな部分があるのなら 言ってごらん? 私はそのすべてを好きだといえるから ほら あなたの嫌なところなんて一つもないよ? ありがとう 2003年12月31日 ありがとう こんな場所で見つけてくれて ありがとう 私なんかを捜してくれて ありがとう 商店街を吹く風は冷たいから あなたの手はいつもあかぎれて ありがとう それでも私を捜してくれて ありがとう だから私は 私以外の誰かのために 今日も 「ありがとう」と笑顔を浮かべていられるのです ありがとう 何度言い尽くしても足りないけれど 私を作ってくれたあなたのために ありがとう |