2004年 1月の作品たち

始まりの朝の音  2004年1月1日

澄み渡る空に鳴り響く
踊るように生まれ残る
始まりの朝の音

今日の一日感謝して
今のひととき伸びをして
耳すます
心澄む
ほら
チュキチュキ
ヒュラララ
ときにブロロロロ……

世界の中に僕がいて
僕が世界に一人いて
確かに今包まれている
おかしいくらいあたり前
そんな事実に嬉しくなる
始まりの朝の音

今日から始まる新しい日々
願わくば笑顔でいられますように





ウォーマー  2004年1月10日

明日から自分を慰めるのは止めよう
駄目な奴だって罵るたびに
どうしようもないって嘆くたびに
言葉の裏側で頭を撫でる自分がいる

人は結局一人だから
誰かといても一人だから
自己愛こそが自己憐憫こそが
究極の「愛」なのかも知れないけれど

一人の温もりじゃあ
やっぱり自分自身は暖められないから
明日から自分を慰めるのは止めよう
そうしてせめて
誰かを暖められる人になれたら
いいのにな





冬の寒さの中で  2004年1月13日

北風が心の温もりまでも連れ去っていく
空へともれる白い息
夜の溜息のように
何故か寂しくなって
力いっぱい息を吐いた
白く一瞬染まった闇に
大切な物まで吸い込まれていく

ふと
君の手が僕に触れる
互いの弱さ分け合うように
結んだ手
そこだけ何処より暖かくなる
消えた気がした物たちが
今ゆっくり還ってくる

なにげなく寒さから救ってくれる君が
これ以上風邪に震えないように
「君を守る」
そんな言葉照れくさくて言えないけれど
いつだって微笑んでくれる君のため
出来ることを今も捜しています





気がつけば  2004年1月15日

気がついたら君のことばかり考えていた
授業中の椅子の上
待ち合わせばかりの町の中
君を想える幸せと
君がいない寂しさと
どちらも同じに感じるから
気がついたら君のことばかり考えている

乗り換え待ちのホームでさえ
家まで続く途中でさえ
君だけで染まっていて
嬉しいような
悔しいような
でもやっぱり君の側にいたいから

気がつけばいつも
君のことばかり考えている





幸せ  2004年1月18日

幸せな人こそ本当は
不幸に一番近いのだろう
不安は常に胸を揺らし
幸せが壊れる夢に
知らず目覚める夜もある

幸せなのが罪なのか
不幸こそが人なのか

幸せを迎えるたびに人は
不幸になる日を恐れてしまう
始めから不幸ならばきっと
悩むこともないと思えるほどに

だけど
だからこそ君には笑って欲しいと思うから

言葉尽くしても
不安が離れはしないのなら
君が不幸に怯えるたびに
何も言わずに隣にいよう
いつまでも
君が幸せを笑えるように





摩耗  2004年1月22日

哀しいことがある度に
心は少しずつすり減っていく
涙することに慣れすぎて
意味さえ徐々に薄れていく

立ち直る時期が少しずつ早くなって
そのうち悲しみさえ
過ぎ去った途端小さな傷の一つになる
ササクレみたいにほんの少しの痛みになって

気づかないうち
心のどこかが麻痺してしまう
そんな人になりたくなくて
そんな人じゃないと生きられなくて

寂しいけど
哀しいことがある度に
すり減る心を止められずにいる

せめて大きな不幸には
力いっぱい泣けたらいいな





あなたは唯あなたなのに
               2004年1月26日

自分だけが特別だって思っている
根拠のないプライドで
消えたいほどの自己否定で

自分のような人間は
他にいないと思いこんでいる
他人すべてを見下して
周りを見るたび萎縮して

自分だけの特別を
自分一人に張り付けている

特別なんて思わなくても
あなたは世界に一人なのに
特別なんて思うたび
孤独の闇に捕らわれるのに

誰よりあなたがえらいから
誰よりあなたが弱いから
そんなことで人は仲間になるんじゃない
あなたがあなただから
それだけで
なによりも素晴らしいのに





Eめーる フロム YOU 2004年1月30日

君からメールが来ないから
今日はなんだかやる気が出ない
ふてくされて寝ころんだ途端
携帯が君だけの音楽をならす

それは小さな偶然に過ぎないのだけれど

君の言葉はいつも
欲しいと思ったときにやってくる
そんな傲慢な思いこみに
今日も救われている僕がいます