2004年 四月の作品たち

君の孤独を憂う風景  2004年4月4日


街が色あせていく
濁った空から哀しく風が吹く
アスファルトに響いた靴音が
虹色の水たまりに寂しく落ちた

重たい空気が周りを覆って
動けなくなる
どうしようもなく切ない日

きっと
今君が独りで泣いているんだろう





創作言語   2004年4月14日


言葉を作ろう
僕だけの言語
あり得ない単語

ありきたりじゃ君に届かないから
思いを言葉に
僕だけの詞で君に

呼びつけた言葉に
君が不思議そうに振り向いたなら
心から抱きしめよう
それが僕の言葉の意味だから





側にいたいから   2004年4月15日


君にできることが何もない僕に
君は笑みを浮かべてくれる
「側にいて」とただ繰り返す
負けず嫌いな君の
飾り気のない笑顔に僕は魅せられる
「側にいて」とただ繰り返す
「私の台詞」
そう言って膨れた君の頬を
僕は引っ張る
何気ないいたずら
君の笑顔が輝き出す

ああ
その時胸に溢れる想いを
どうしたら君に伝えきれるだろう?
ありふれた台詞を海に沈めて
言葉もなく君を抱きしめる

君にできることが何もない僕
だけど許されるのなら
いつまでも君の側に





君がいない日  2004年4月20日


空がいつもより暗く見えた
笑えるはずの出来事がただうっとうしかった
人混みのざわめきがやけに煩わしかった
君からの電話がない
ただそれだけなのに

こんな時思い知らされるんだね
どんなに大切かって単純な事実
忙しいって分かっているのに
いつの間にか不安に変わる

君の声が聞きたくて鳴らし続ける携帯に
今日は無反応な機械音が何度も答える
今すぐ君に会えればいいのに
叶わない願いに
また僕は携帯を手にした





世界を濡らす雨に打たれて
               2004年4月28日


降り注ぐ雨に今包まれている
等しく濡らす命の滴が
傘もないこの身へ染み渡っていく

額から
頬から
咽から

そして胸を伝い
体に吸い込まれていくように
柔らかい指先で
そっと火照った体を覚ましていく

ああ今私は
この地と同じように濡れています
あの屋根と同じように濡れています
電柱と同じように濡れています
木々と同じように
雑草と同じように
濡れています
命に溢れています

そんな根拠のない確信に
きつく体を抱きしめた

ああ今私は
ここにいます
確かに今
この雨に濡れ息づいています





ここから   2004年4月29日


ここから始めよう
次の一歩から
ここまでの道はなかったことにして

そんな簡単には世の中行かないけれど

自分なんてまるで駄目で
関係なんてしがらみで
愛なんて
友情なんて
そんななにもかもで頭一杯になったとき

ここから始めよう?
次の一歩から
さっきまでの道のりは無かったことにして
襲いかかる過去の後悔は
知らない顔して通り過ぎてさ
ここから始めよう

誰が怒ったって
いいよ
君が壊れないなら