2004年 八月の作品たち
幸せ 願い 2004年8月1日 すべての人よ幸せに そんな願いを抱きながら 誰かの幸せ踏みにじり きっと僕らは生きている 幸せは不幸の始まりなのか? 所詮喜びの感情とは まやかしに過ぎないのか 誰もが幸せになりたいと 願いながらいつの間にか さっきまでいた幸せを 大きな不幸に塗りつぶされている 求めれば 求めるほど 不幸せはがんじがらめで もしかしたら 幸せなんか無いのかも知れない そんな 不安に襲われたとき 簡単に幸せを呼び戻すのは 隣りに座った 何気なく笑う 君 ヒトリボッチ 2004年8月5日 まるで小さな箱に詰められたような 水音だけ耳の横を流れていくような 手足の感覚の無いような 虫の羽音が幾重にも重なり聞こえるような 穴の中で 一人 見えない闇に目を凝らし 移らぬ影に恐れをなし 走りたくとも 何も頼れず 泣きたくとも 声も聞こえず 響きさえ 飲み込まれていくというような 不安 君が 隣にいないだけで 恋の花 2004年8月7日 種が落ち やがて芽の出るように 花が咲き やがて実の生るように 実が朽ち やがて種が生まれてくるように 巡り巡りながら 徐々にその種(しゅ)を増やした我らのように 俺はあなたを想っています 愛しさ 2004年8月10日 いたずら好きの君が 時々本気で困らせにかかる 子供っぽい笑顔の裏の 本当に子供っぽい部分 見せつけてうろたえる だけどそれも愛しさのうち 不安になり安い君が 時々本気で疑ってかかる 弱そうに見えた声に潜んだ 本当に弱い部分 見せつけられて泣きそうになる だけどそれも愛しさのうち 試したがりの君は 怒らせようと 涙させようと その時その時で言葉を変える そのたび俺は戸惑って 怒って泣いてしまって 結局 君を不安にさせることになるけど だけどそれも愛しさのうち 怒ったり泣いたりしたその後で 結局 君を益々思う自分がいる そして俺は喜びと共に 君に囁く 愛していると 二人で一人 2004年8月11日 君は俺で 俺は君で 互いに互いが所有しあい 傷つけあい 慰めあい 愛しあい そして まるで一人のように 見つめ合い 抱きしめあい 喜びあい 怒りあい 愛しあい 繰り返していく ただ一つ確かなことは 互いの他には 何もいらない 当たり前に 2004年8月14日 太陽が地球を常に照らすように 雨が恵みをもたらすように この広い地球が 常に回り続けるように 当然のような 必然のような 当たり前の気持ちで想う 君が好き 膝を抱えて 2004年8月20日 風のない日 蒸し暑い朝 夢のない時 たまらない午後 あり得ない希望 くだらない夜 世界に「無い」があふれ出し つまらない 意味がない 分からない 仕方ない 否定が心に満たされる 君に 会えないだけで ありがとう 2004年8月26日 生まれてくれてありがとう 何年経っても君に贈る言葉は同じ 生きていてくれてありがとう 一緒にいてくれて 笑ってくれて 愛してくれて それもすべて君が その愛しい 体で 心で 笑顔で 今日まで そしてこれからも 生きていてくれたから 生きていてくれるから ありがとう 生まれてくれて 生きていてくれて 俺と一緒に歩いてくれて ありがとう ありがとう 夢 2004年8月27日 ゆめのせかいでゆめをみて ゆめうつつにまどろんで ああせかいはかわらない すべてかいちょうだなんてさけんで 目が覚めて 君がいなくて 俺は 現実の世界を夢に間違え途方に暮れる そんな夢を見た 君に聞いたら笑われそうで 今はまだ言わないまま フェイク? リアル? 2004年8月30日 目の前には山が広がっていた 世界は緑で あまりにも僕らは小さかった 流れる川はエメラルドに光り 太陽の陽を反射して おもむろに僕の目を潰す 青々とした空はどこまでも高く 風の声さえしない道道では 森はどこまでも穏やかにシンとしている 雄大な自然 ああ 腹を抱えてしまうほど ちっぽけな僕ら 都会のビルに慣れた目は 皮肉に周りを見渡して 口の端を持ち上げた 現実のはずの風景が フィクションにしか見えなくなる 世界はまるでリアルじゃない 悲しみを覚えながらも 僕は 高らかに世界を笑った |