2005年 二月の作品たち

例えば月のように  2005年2月16日

「裏切られてもかまわない」と
差し出した両手の先で月が光る
寒さに震える君の肩が
近いようで遠いそんな夜

どれくらいの時が経てば
互いに信じ合えるのか
思いは変わる月のように
届かないのに囚われている

だからこの両手は
例え君を抱けなくても
何度でも差し出すだろう
手の先に君が居なくても
君を思う事は変わらないから





トビラ   2005年2月20日

傷つけられないように
心に扉をつけた
誰も寄せ付ける事無く
僕を守る重い扉
寒さに震えることも無く
熱さにうだることもなく
何時の間にか
閉じ篭っていた

「何をしたいの?」
自分自身に問い掛けても
いつか閉めてしまった扉は
心の底まで覗かせない
見えもしない外と
覗けもしないうちに挟まれ
ただあきらめていた

そんな僕に
君は笑ってくれたね?
その無邪気な笑みが
あっという間に扉を溶かした

今は僕の前に君が居る
二人を阻む扉も無く
外の風は冷たいけれど
僕は
それも良いなと思っている





部屋の中で  2005年2月25日

冷たい部屋で
僕らは抱き合う
壊れそうなくらい細い君の体を
壊したくなるエゴを抑えて
なぜ
君はここに居てくれるのだろう?
なぜ
君は愛しいと涙するのだろう?

どうしたら君への思いが
真っ直ぐ君へ届くだろう
いくつもの問いを
どこへ聞けば良いか分からずに
僕は君を抱いている
どうかこの時が続くよう祈って