2005年 六月の作品たち

人は誰もが独りだから  2005年6月3日


他人ばかりがひしめき合う
町の中で途方にくれる
何時間歩いていても
会えもしない君を思う

誰もが独りで生きているなら
本当は独りでも大丈夫なはずなのに
君に出会ったそのことが
僕をこんなにも弱くする

考えことさえ一つも出来ずに
他人の中で君を思う
あえないと分かっているから
こんなにも多い人の中で
僕は一人
たった独り





生れ落ちたこの世界  2005年6月15日

生まれてから死ぬまで
人はどれほどの夢を抱くだろう?
胸の中に溢れている将来への希望
形にならずに消えながらも輝いている光たち

赤子のときに抱いていた無邪気さを
忘れながらも空へと祈る
どうかたった一つでいい
心から祈る夢が叶うように
今はまだ答えなど見えない

でも
生きていればいつかは

そんなあやふやな思いだけで
年を重ねる
やがて私も色あせて
くたびれて眠り消えるのだろうか……





深夜三時十五分  2005年6月30日

誰かを救えたら良いな
たった一人でも
絶望よりも希望が多いと感じられたら

僕はもう救われすぎて
そのせいで救われないのは分かっている
あきらめているわけじゃなく
当たり前だと思えるから
どうか誰か一人でも
これから先の生きている間
救えたらいい

そうすれ僕は
この世界に生まれた意味を
ほんの少し
本当にほんの少しでも
ましに感じて死ねるだろう