2005年 八月の作品たち

そしてまた繰り返す  2005年8月1日

同じような恋愛を繰り返している
いつの間にか
使い古しの表現で誰かを見ている
同じような言葉で愛を語り
これが最後なんだと
言い聞かせては思いをささげる

いつか
そういつかという漠然とした未来
そんな連続にも疲れはて
恋なんてとつぶやく人になるのだろうか?

それともほんの少しづつでも
ましになるのだろうか?
愛を信じられるのだろうか?

形のない想いに今日も惑わされ
涙しながら生きている
悲しみに時に襲われながら
喜びに満ちたときを覚えているから
また何度でも
同じような恋愛を繰り返していく





振り切られずに一人  2005年8月3日

届かない場所に投げた一つの想いは
見えない場所で花開くのでしょうか?
二度と見たくないと風に乗せた言葉は
いつか消えてくれるのでしょうか?
悔恨という名の風が
冷たく体を通り過ぎる
投げ捨てたはずの想いと
通り過ぎたはずの言葉が
未だ鎖となって地面につなぐ

そして今日も空を見上げ
羽ばたく翼にあこがれる
考えられなければ楽なのに
想像という自由が
雨となって悲しみばかり降らせていった





今胸痛む思いのために 2005年8月5日

君にメールを送らなければ
悲しみも感じないのかな?
返事待つ時間の長さに
ため息以外つけないでいる

君に嘘を言えるのなら
寂しさも薄れるのかな?
思う気持ちを今も消せずに
重たい夜が過ぎていく

これが最後の恋だったと
告げるつもりは少しもないけれど
今は少し
今だけは少し
君の夢に眠りたい





恋に破れた人のため  2005年8月6日

「愛を誓った人でさえ
いつか裏切られるというなら
愛なんて初めからなくていい
夢だけを見られたらいい」

そんな寂しいことを
俯きつぶやく人がいるなら
僕が隣に座っていよう

否定するつもりなんてない
慰めの言葉なんて見つからない
だけど外は寒いから
一人じゃ凍えてしまうから

やがて傷は癒え
歩き出せる時来るでしょう
やがて一人にも飽きて
誰かを探しに行くでしょう

そう
例え裏切られるとも
私たちは繰り返す
同じ事を
何度でも

それならせめて歩き出せるまで
僕が傍にいるよ
僕はそれで十分だから

僕の想いは気づかれなくてもいいんだ





君だけがいない日常  2005年8月7日

君の声がしなくなった携帯は
変わらず今日もポケットに入っている
相変わらず暑いけど
倒れていたりしてないかい?

「今どおしてる?」なんて言葉
気楽にかけられたはずなのに
今はメールでも送れない
そのくせ君のことが気がかりで
共通の友達に聞いてみたりしてる

君がいなくなってからも
毎日は思った以上に簡単に過ぎているよ
流れるように過ぎていくから
忘れられないよいつまでも

今日も一人空を眺めてた
この空は君につながっているはずなのに
見渡しても君の香りさえ見つからなくて
排気ガスのむずがゆさに
僕は小さくくしゃみをしたんだ





恋愛感情スケッチ 2005年8月11日

好きという
想いを吐ければ救われるの?
痛みを伴う感情が
その矛先を求めている

好きという
想いを受けられれば救われるの?
答えのない
君の微笑に想いをはせる

悲しくて
嬉しくて
寂しくて
暖かくて

陽を受けすぎて俯いた向日葵のように
今は
心が重くて前を向けない

何度自分に問いかけたの?
心の中を図ってみたの?
君を想う孤独の重さ
今はただ
明日を待ち続けている
誰もくれない解答を
暮れないうちから待ち続けている





否定するたび広がる思いが  2005年8月11日

違う
そうじゃないって思ってみた

恋愛感も未完成で
人生観もありきたりで
そんな自分の想いなんて
全然違う
少しも足りない未熟児だ
そう
思ってみた

それでもなお
胸を裂くよう溢れる思いが
悲しいくらいに叫んでいた
この感情が恋なんだと
この感情さえ恋なんだと

違う
そうじゃない
何度となく繰り返して
まだ僕は
何も出来ずに戸惑っている





NOT CRY 2005年8月11日

あなたが泣いている
それだけで
私の世界は軋み始める
軽口ばかりがあなたに届いて
流す涙を止められない

きっと私なんかでは
あなたを救えないのでしょう
わかっている
そのはずなのに
あなたを救いたい私がいる

いっそ会わなければよかったのかな?
一人になると思うのに

私の知らない場所で
泣いてるあなたを思うだけで
心切り裂かれるようで

傍にいたい
それだけが言えないでいる
あなたを想うだけで裂かれた胸が
何時までも癒えないでいる





エゴという名の救いを抱いて 2005年8月11日

恋をしたせいで
悲しんだ話を聞いた
知らないところで泣いた君を
知らずにいた私を恨んだ

君が悲しむなら
それは私が理由であればいい
君が喜ぶのは
それは私が理由であればいい
エゴイズムで固められた恋愛感情は
ありふれすぎてて救われない
けれどももしも許されるなら
君を救うのは
私でいたい

例えそれが一瞬でも
それだけで
君の中に生きられるから





あなたのために出来ること  2005年8月11日

裏切られたと分かっているのに
あなたのことを嫌いになれない私がいる
私はあんまりにわがままばかりで
あなたの想いが見えなくなった
ただそれだけのことだから
あなたのことが嫌いになれない

だけど
遠ざかる声に
ならない電話に
見つからないあなたの姿に
切り裂かれていく想いは次第に
闇へと切れ端を埋めていく

ほらこんなにも私は笑っていられるから
あなたは何も心配しないで

ポーカーフェイスでやりすごして
あなたを見ないふりしたのは私のほうだから
裏切られたと分かっているのに
今はあなたの幸せを誰より祈っている
好きだと確かに言える時間を
一緒に過ごせたあなただから
あなたが幸せになることを
私は笑んで祈り続ける





踏みしめる一歩のために  2005年8月12日

新しい喜びの前に苦しみがあるのだとしたら
私は喜んで歩を進めようと想う
独りでは超えられないと誰もが笑っても
私は前を見続けるだろう

たとえ素足が汚れても
たとえ腕が棘で傷つこうとも
歩く
歩き続けるだろう

やがて来る喜びはきっと
どんな苦しみにも勝る宝となるはず
たとえ今日泣き続けても
瞼重くなるほど泣いたとしても
眠ればいい
涙も悲しみも
明日歩くための糧になるから





慣れているから大丈夫だよ  2005年8月12日

君は強いから
僕がいなくても大丈夫だろう?
僕は慣れているから
どうかここに置いていきなよ

悲しいときは独りで泣けるさ
嬉しいときは独りで笑うさ
誰かに怒りをぶつけるときも
大丈夫
きっと独りでやれるから

そう
君は強いから
僕がいなくても大丈夫だろう?
僕は慣れているから
独りには慣れているから
どうか君は君の道を
これから進んで行けばいい

一つだけ
君へ頼むことがあるとすれば
どうか決して振り返らないで
取り残されてしばらくは
いくら僕でも
少しは落ち込んでいると思うから





リプレイ?  2005年8月12日

繰り返している毎日で
また新しい出会いをする
ありきたりな毎日で
塗り替えて出会いをする

きっと明日は明日の出会いがあって
だから今日の出会いも悲しい別れも
そのうち忘れることが出来るんだ

繰り返していく出会いの中で
思い出ばかり増えていくけど
新しい出会いを夢見て
今日も誰もが眠りにつく
きっと明日は笑顔で握手が出来るよう
夢の中で
今日の涙を微笑みに変える

繰り返していく毎日だけど
日々重なっていく新しさに
きっと誰もが救われる
そういつかきっと





君のための願い事  2005年8月12日

好きな誰かが幸せならば
それだけで幸せといった
あのときの言葉に嘘はないけど
本当でもないよ
今でも胸が苦しい

違う誰かの傍で
笑う君を見るたびに
楽しそうな君に嬉しくなって
だけど寂しくてたまらなくなる

小さいころに育ててた朝顔
僕の花だけが育たなくて
誰もが綺麗な花を咲かすだび
その美しさが嬉しいのに
悲しかった
水を与えすぎてびしょぬれの僕の鉢植え――

手に入らないのならいっそ
見なければいい
無いと思えば諦めもつく
そんな言葉で自分を彩る僕は
どうしようもない愚か者だろう

君の幸せを心から
願える日々を願う
誰もが楽しく笑う日々を
願える時を僕は切に願っている





育てられない恋の花 2005年8月12日

始める前にしぼんでしまう
花をじっと見詰めている

想いを届ける前に
自分自身に問いかけた言葉
疑問符ばかりが増えていって
育ちかけた心の花に
遠慮容赦なく降り注ぐ

愛はあるの?
そこに想いはあるの?
大切に出来るの?
幸せをあげられるの?
何が出来るの?
君のために僕は?

何も分からず
答えも出ない問いかけに
始める前に花がしぼむ
心の中で小さく震える花びらを見つめ
臆病な僕はため息をつく
諦めきれずにまだ見つめている





救えない小さな命がまだ見ていた
           2005年8月13日


きっと誰かが
あなたを救うでしょう
何度と無く繰り返した
じっと見ていると期待させてしまいそうで
足早に通り過ぎた

大きな目
幼い手足
小さくかぼそい鳴き声に
涙が出そうになりながら
逃げた
必死に
言い訳を心の中で繰り返してた

なのに今でも
思っている
あなたが救われたかを
私には救えないからと
振り切ったときに聞こえた声が
耳から離れないまま
あどけなく首をかしげたその姿が
胸の奥を突き続ける





独り  2005年8月14日

誰も私のことなんて
分からないよ
そんな当たり前に気づいたのは
もっとずっと前のはずなのに

泣いちゃうんだね?
他人事みたく感じながら
流れている涙を止められない

分かってたよ
分かってるよ
何度言い聞かせても
たった一人は寒くて仕方が無くて
止まらない頬の冷たさに
今日も震えている





ペンを持つ理由2005  2005年8月14日

なぜ僕は書くのだろう?
自分の胸に問いかけても
答えなんて返らないけど

誰かが泣いている
そう感じたときに
僕には書くしかなかったんだ

空を見れば僕は笑えるのに
涙を流す誰かのために

木々のざわめきに僕は耳を澄ませるのに
泣いて耳を閉ざす誰かのために

かつて独り泣いていたのは僕だったから
今は僕以外の誰かのため
願いを込めて物語ったなら
いつか
そういつか
たった一人でも笑顔を増やせられるかな?
問いかけながら今日も僕はペンを取る
自分の涙は深く閉じ込め書き続ける

せめて僕以外の誰もが素敵に笑えますように
見えない何かに祈っている





いい人だねって君が言ったから  2005年8月15日

いい人なんて
呼ばれたくないよ
いい人なんて
言葉で括られるなんて
それだけで自分が終わりみたいで
耐えられないよ
寂しすぎるよ

だけどいい人だねって言った君が笑うなら
それでいいよ
そう思えるよ
いい人でいれば君の近くにいられるのなら
僕はそれだけで十分だよ





エゴイズム  2005年8月15日

なんでこんなにも
弱くなったのだろう?
己のエゴすら嫌悪するから
明日さえ見出せなくなる

昔の何が原因で
今ここにいるのだろう?
間違いばかり多すぎて
昨日さえ誇れない

きっと僕は誰かのために
生きている
生きたいのだと思っても
それさえエゴだと否定されて

望むものの一つも
叶わないでいるのだから
誰かの願いだけでも今は
叶えてあげたいと思う

もしも
それさえエゴだと否定されたら

今さえ涙で見えなくなる





濡れた頬  2005年8月16日

頬をぬらしていた雨は
いつの間にか姿を消して
生き返るように鳴くセミに
太陽の出番を知る

俯き歩きすぎて
少しまだ首が痛い
返事のない携帯を気にしなければ
すぐに直るのかな?

叶わないなら
いらないよ
いい聞かせ空見ようか?
聞き分けのない子供のように
手が機械から離れない

もう雨は止んだはずなのに
鳴いているのは蝉のはずなのに
どうしてだろう?
頬が冷たい





学び舎を見回って(夏) 2005年8月17日

独りきりの校舎では
靴音だけが高く響く
ビクビクあたりを見渡して
私は確かに独りだと
一人思い知る

当たり前のように
通い学ぶ箱が
暗闇の中静かにあって
冷たく私を包んでた

かつてあったはずの声と
これから起こるだろう声たち
暗闇の中
思い浮かべて
時の重さを肌で感じる

守られてきたはずの場所なのに
どうしててだろう今は中身無さ過ぎて
檻のように見えた





例え立ち止まった先が暗闇でも  2005年8月18日

暗闇はあなたをやさしく包むだろう
夜風は程よく心を覚ます
そして明日が見えたなら
歩き出せばいい
僕が傍にいるよ

大切な何か失うたびに
からっぽになる心が乾く
止められずに何も見えなくて
闇より暗い絶望を抱いた

例え何があなたから離れても
あなたがあなたであること
それだけは自由
それだけが確かだから

闇の中いくら目凝らしても
見えるものは何もないけれど
感じればいい体全てで
怖くは無いさ
悲しくも無いさ
またいつか歩き出せるさ





月と君  2005年8月21日

闇に浮かぶ月を雲が撫でる
繰り返し繰り返し
大海を泳ぐように月は行く
鳥を
海を
世界を超えて

仰ぎ見る私は
あまりにも大きな世界に戦きながら
あの月を一人見るはずの
君が怯えないよう祈っている

闇の中何より気がかりなのは
世界を泳ぐあの月ではなく
たった一人
ただ君のことだけなんだよ





昨日のあなたが見ているあなた  2005年8月23日

昨日のあなたに手を振れば
昨日のあなたが笑みを浮かべる
嬉しくなって近寄れば
途端あなたは露へと消える

それは当たり前のことなのに
あなたのいない隣を見つめて

一人の私は
ただ独りをかみ締める

時は流れ
人は変わり
明日は昨日に変わるのに

昨日の君を空に探して
私は独り
時の流れに背を向ける





真夏の熱にやられたような  2005年8月24日

太陽の熱にやられたような
恋が人をおかしくする
笑顔で話せたあの人を
見られなくなる
自分の顔が分からなくなる
どんな仕草を見せていたのか
どんな言葉で笑っていたのか

夏の熱に湯だったようで
あなたの前では分からなくなる
そして
今日もまた
言葉はあなたを傷つけて
瞳はあなたを欺いて
体はあなたを向かなくて
自分を呪う
うだるような暑さを呪う





嫌  2005年8月25日

「嫌だ」と
ただそれだけしか出てこない

違う男の隣に居る
そんなあなたを思うだけで
あなたが違う男と笑い
違う男の言葉に酔い
夢を編み
恋という
まるで移ろい流れの中に
無邪気に飛び込む姿思うたび
「嫌だ」と
そんな言葉しか出てこない

例えばそれは
救急車の音を聞かされたときのような
訃報の二文字を見たときのような
微かな予感
喪失と
絶望とに
心を撫でられるのにも似た
小さな
でも確かな感情

「嫌だ」と
言ってしまえれば楽なのに
幸せそうなあなたの微笑に
言葉がつかえて出てこない

胸の想いは清くとも
言葉が例え届くとも
あなたの心を切なくえぐる
刃なのかもしれなくて
駄々っ子のように
あなたをただ見つめたまま
時が過ぎるのを待っている

「嫌だ」と
言えれば楽なのだろうか?
やがて分からなくなり
うなだれる
痛んだ胸を押さえ俯く


そんなときに限ってあなたは
泣きたいくらいの笑顔を浮かべ
「大丈夫?」ってただそれだけで
私に恋を思い出させる
胸の痛みを蘇えらせる





涙の雨を飲み干したら  2005年8月26日

地をぬらす幾千の涙に
今日も星は満たされていく
浴びるように飲み干せば
少し苦い
血の味がした

幸せの言葉を探して
さ迷い続ける人がいる
居場所をただ求め続け
さ迷い続ける人がいる

苦しいばかりで救われないと
流す涙は星へと消え
やがて誰も忘れたころに
大空より
振り落ちる恵みとなる

行く奥の屍乗り越えて
回り続ける世界の中で
ちっぽけな
本当にちっぽけな私たちが
報われるなんて無いのかもしれないから
せめて流した涙は
世界を潤すと思えたら

そんな妄想など知らずに
雨はただ降り続けている
何も出来ず俯いたまま
雨に打たれ
流れ込む味に
血を思う
そうか
泣いていたのは私か





記憶もやがて薄れるならば  2005年8月29日


忘れるわけ無いよ
言って泣いたはずのあなたは
私を見つめ首をかしげた
まるで夢の中にいるように
あなたはやけにゆっくりで
聴きたくない言葉を吐いた

呟きにも似た一言が
銃弾にも似た素早さで
刃のようになめらかに
私の中の
何より大事にしていた部分に
深く突き刺さった

思い出さえも移ろうなら
約束さえ忘れるならば
人が人と生きることに
どれほどの意味があるというの?

問いかけには誰も答えず
胸の痛みを抱いたまま
今日も独り俯いている
傷つくのを恐れて閉じこまったまま
私はただ
私だけのときを過ごしていく





愛しているのに傷つく君へ  2005年8月31日

愛していると繰り返すくせに
傷つけられてばかりの君だね
闇の中迷ってばかりで
月影さえ見当たらないね

ありきたりの恋願うくせに
当たり前も分からないんだね
涙ばかりの夜の癖に
強がって黙ってばかり

昔の君が君を見てるよ
今胸張って見つめ返せるかい?
周りの言葉なんて聴かなくていいけど
先の事なんて思わなくていいけど
かつて君があこがれた未来の君に
今の君は近づいているのかな?

想い信じられないなら
愛が分からないなら
今ただ悲しいなら

いっそ君がもらった言葉
一つ集めて
空に撒いてしまえばいい
振り切ることは弱さじゃなくて
決意という名の勇気だから

君が笑える日を祈っているよ