2005年 9月の作品たち

心抱きしめて  2005年9月2日

壊れそうな心
ココで抱きしめてた
踏み出した途端
崩れ落ちる気がして
動けずにいた

無関心に歩く人達を見て
なにも出来ないから
なにも始められない
自分の不甲斐無さに
生きている意味を問い掛けていた

答えなんて誰にもわからないはず
寂しさの理由占いに求めて夢見ている
きっかけを待ちわびて疲れきっている

例え何かがどこかで始まったって
進まなきゃ辿り着けない
そんなこと当たり前だけど

抱えた心
壊れかけて冷たすぎて
これ以上は恐すぎて
動けない
攻めて差し出す手があれば……
そんな他人まかせじゃ
両手の重みは増すばかり
孤独の重さが増すばかり





ナイナイづくしの片思い  2005年9月3日

好きな人に「好きだ」と言えない
臆病過ぎて目合わせられない
否定しても思いは冷めない
もどかしさ今も消えない
忘れたいくらい傷ついたから
癒えない痛みに自信が持てない

自分には何も無いと
繰り返してた
無いものを振り絞っても
君には届かないから

いっそ君の前に
敵わない恋敵でも現われれば
この淡い思い咲かずに枯れてしまうのに

一人笑う君が
今日も眩しい





意気地なしラブソング  2005年9月4日

君の声が聞きたい
今すぐにでも
挨拶だけでも
出来れば笑い声を

君の想い聞きたい
悲しいとか
嬉しいとか
1日の感想でも

例え嫌われていても
本当は好かれていたいけど
嫌いって想いの言葉でさえも
噂話で聞くより
直接君から聞けるのなら嬉しいよ
君が僕を見る
その瞬間は例え短くても
君は僕をたしかに見てる
それだけでいいよ

だけどやっぱり
君には好かれていたくて
星占いの本を買った
相性見てほっとしている
意気地なしのラブソング
届くはずない午後の溜息





雨の中の一人歩き  2005年9月5日

雨の中一人歩く道
雨音に耳を澄ます
ささやかな囁きが
傘に跳ね
心を撫でて行く

公演通りは人気も無く
ブランコも今日は押し黙り
雨にされた化粧に
不満げに佇んでいる

顔を上げれば
ビニール傘の向こうに
塗りたくられた
灰色の空

まるで世界中が
濡れているみたいで
だとしたらこの雨にうつむくのも
し方ない気がした

それでもいつか
遠くない未来
晴れ間は覗くだろう
その時に笑っていられるように
せめて笑顔を
作る練習はしていよう





BE YOUR KNIGHT  2005年9月6日

やりたいことが一つも無いと
呟いたら寂しかった
生きている意味も
生かされている意味も
無いと思えて来た

だけど俯いて
仕方ないなんて愚痴る前に
今誰かのナイトになろう?

出来ない事
無理してしなくたっていい
笑えないなら泣いたままで
話せないなら無口なままで
誰かの傍にいよう

きっと人は誰も
きっかけ次第でナイトになる
傷ついた心を癒す騎士になれるんだ

仕方ないと呟く前に周りを見てみよう
寂しそうな人はいない?
悲しそうな人はいない?
あなたが傍に座るだけ
それだけであなたはナイトになれる

もしも救えないほど傷ついたのなら
大丈夫
私が傍に行くよ




笑えないあなたの為に  2005年9月7日

誰だって始めから笑えたわけじゃないよ
壊れそうな時もあったはずさ
それでも「私なんて」と思うのは
君が一人でいるからなんだよ

うずくまる前に振りかえってごらん?
ほら羨んでいた人でさえ
時には泣いていただろう?

他人は他人と悲しみに浸かるなら
なぜ他人と比べて不幸だと
そんな簡単に量れるんだい?

君だって強くなれるよ
1日中笑顔を浮かべる日が来るよ
今は辛いかもしれないけれど
だからこそ俯かず前を向こう?
君が笑えるその日まで
僕はずっとそばにいるから
君が僕をいらなくなるまで
僕は君のそばにいるから

ほらまた1日が終わって行くよ
明日のために
笑顔を浮かべてお休みを言おう





泣く子供  2005年9月8日

まるで一人きりのように
泣いている子供がいた
助けを求めている
真剣に
悲痛に
引っかかれたように痛む胸を
抑えてただ見守っていた

付かれた顔の母親が
苦笑いを浮かべていた
悪いことをしたかのようにコソコソと
近寄った母の手を
子は容赦なく弾く
悲しみが伝染していく

何が悲しくて泣き出したのだろう?
きっとそれはもう本人にもわからない
ただ悲しくて
悲しくて
泣いている事で生きているよう激しく泣いて

やがてその目には写るだろうか?
俯き拳握る母の姿が
耐えながらなお
微笑む母に子は気づくだろう
悲しみすら咎なのだと





想いパズル  2005年9月11日

言葉を重ねながら作る思いのパズルは
誰も解く人もなく今日も手の中にあって
かなわない思いが増え続けるから
複雑な形になる

こんな解き難い想いだったら
渡されたって嫌だろう?
誰よりも好きだから困らせたくなくて
一番渡したい人に手渡せない

いつの間にか
パズルはますます絡まり出して
もう自身でさえ解けなくなっていた
ただ捨てることが出来ずに抱きしめていた

いつか
そういつかと願いながらも
動けずにいる僕の横を
何も知らない君が通り過ぎて行く
その横顔に今日もパズルは複雑さを増す





黒き蝶の羽ばたきに魅せられ 
              2005年9月14日


空へ羽ばたけずに
窓越しの青に恋焦がれている
闇色の羽じゃ光には似合わなくて
それでも光りをと願うのに
締めきられた部屋は許さなくて
羽ばたきばかりが増えていく

この中には何でもあるよと
言い聞かせる声に負けそうになる
明日を見ること
夢見ること
捨ててまで
生きようとは思わないから

今も青へと羽ばたき続ける
小さき黒き翼だけが全て





遠く離れたあなたへの歌  2005年9月15日

いつの間にか髪を切ったね
話しかけられずただ見ていたよ
何でも無いような顔をして
でも見えない距離を感じた

あなたが笑っても
今は胸痛まないけど
時々俯く
寂しげな顔に泣きそうになる

僕に出来ることは一つもないから
あなたはあなたでいるしかないんだけど
僕に出来る事が一つでもあるなら
いつでも言って欲しい

隣で笑っていたあの日を
忘れられない僕だから





溜息愚痴だらけ  2005年9月17日

見せかけばかり増えていくね
笑顔も怒りも悲しみでさえ
誰にも伝わらないと諦めるたび
見せかけばかり増えるんだ

笑った顔がまるで泣いているみたいで
なんだか嬉しそうじゃないねと
誰かに言われた言葉がやけに
胸の中で重たく痛む

笑った顔を鏡に写して
笑顔を作ってばかりいたから
いつの間にか分からなくなったのかな?
本当の笑顔とか喜びとかが

なにも伝わらないのならいっそ
伝えなくて良いよ
呟いた言葉は小さくて
まるで弱虫の言い訳みたい

いつかこんな僕でさえ
分かってくれる人が現われるのかな?
どうしようもない夢を見ては
今日も溜息で生きる





満ちては欠ける月のように  
             2005年9月18日

愛が何か分からなくなるたび
見上げればそこに月があった
星の見えない空に眩しく輝いていた金色

たぶん人は誰も
満ちては欠けていく生物
何もかもが揃っていても
それは失うために過ぎないから

だからいつかは
きっといつかは
欠けた心も満ちていく
例え今は暗闇の中でも
それは終りではなく
始まるための準備だから

今は明るい夜空を一人
たった独りで見つめているけど
いつかはまた満ちていく
言い聞かせて今日も月夜に背を向ける





孤独の月  2005年9月20日

オレンジ色の月が見ていた
月の合間で輝いていた
限られた時間生きるものを
無限の闇から覗いていた

あなたのまどろむ瞬きのうちに
私達は皆年老いて消えて行く
あなたは知らず輝き続けて行く
それはきっと何億との歴史の中で
ただ繰り返し繰り返し続いて来た真実

無限の時に嫉妬を覚えて
見上げた闇に星はなかった
ただ一つだけ月だけが光っていた

肌寒い孤独を覚え
私は思わず我が身を抱いた

見上げれば闇
月明かりだけの真夜中





薄れていく思い出へ  2005年9月24日

秋の風の中
気が付けば昔の恋を忘れ
笑えている自分がいた
二度と恋なんてと
呟いたはずのあの時がやけに懐かしい

止まらない時を言い訳にして
このまま忘れられたら
流れるままの時に身を任せ
いっそなかったことに出来たら

そんな都合いい話しばかり
考えてまた今日も過ぎる
結局思い巡らしては
昔の自分を思い出しいつも苦笑する





誰かの為に  2005年9月27日

自分のためにやりたい事なんて
ほんの一つも見つからないよ
自分を生かすそれだけで
精一杯
充分だ
そう思っている

だけど私が知らない場所で
泣いている誰かを思うたび
締め付けられる胸の痛みに
明日も生きなきゃと思わされるから

言葉があなたに届くなら
私の思いが届くなら
どうかあなたは笑っていられるよう
涙なんて流さないよう
ただひたすら祈り続ける

私には出来ない事だらけで
叶えられる事もなくて
ほんの少しの希望でさえ
摘み取られる
分かっているから

せめてあなたは
幸せになれますように

誰かの為に祈っている





思い出を捨て人は生きるから  
                 2005年9月29日


思い出を一つ捨てるたび
昔は色褪せていく
逃げている訳じゃないのに
後ろめたくなって
忘れっぽい頭があの頃をぼかしていく
楽しかったはずの一日でさえ
くすんで
無かったことになる

それが生きること
それだから生きていられる
言い聞かせる独り言も今日は
言い訳めいていた

どれだけ失えば
仕方ないと笑えるのかな?
分からないまま増えていく欠片
ゴミ捨て場で
独りまた俯いている