2006年 5・6月の作品たち
Smile 2006年5月16日 いま君は笑えていますか? 心から 不安も 悲しみも 諦めもなく いま君は笑えていますか? 年甲斐なく 大人気なく ワダカマリも ナカタガイも みんなみんな遠い彼方で いま君は笑えていますか? お金もなく 未来もなく 希望もなく ただ泣く泣く失っていくばかりの若さの前で いま君は笑えていますか? もしも君が首を横に振るなら 私はいつでも会いに行くから 笑顔の素敵な君のため 君が微笑むプロセスを一緒に探そう そして君が首を縦に振る日が来たら いつだって君の前から姿を消すんだ 雨振る夕暮れ 2006年5月25日 君のことなんかが 突然気になったのです 煎餅かじって リモコンいじって 独りの時間楽しんでいたはずなのに 今君はなにをしている? 気になって仕方ないのです テレビのニュースが暗すぎて 雨も降っているからかもしれません 君のことをあれこれと 考えて時間を過ごす僕を知らずに 君はきっと今頃一人で 君だけの時間を楽しんでいる 眠る君を 2006年6月7日 うつむいた君の頬にかかる髪 掬い上げる時を待っている 手を伸ばしそうになる僕は 臆病すぎて行き場を失う 無造作に組んだ手 机の上額乗せて 安らかな吐息に 胸が痛む 生れ落ちて 無駄に生きて 出会い別れて 今また恋を覚えるのか 無防備な君は 気づかないまま 幸せそうに夢の中にいる 現実なのか 分からないまま 僕は君のいる景色を見ている mail 2006年6月10日 好きな人から来たメールは 特別な色をしていて その輝きが消えないうちに 返事を返したくなる 例えばそれは春のような ただなんとなくでも確かに明るい色合い 木々の緑のにおいが溢れ 若々しくワクワクする幸せの色 だけどすぐに返事をするのはまるで 好きだって 全身で伝えているようなものだから わざと待ってみたりする 送った後には返事がただただ待ちきれなくて 遅く送った数分前を今更後悔したりする そんな感情をいくつも込めた僕のメール 君は気づかないまま 返事を返すのも忘れて寝ているんだろう 夏がきはじめた公園で 2006年6月25日 夕暮れの公園では 今日も子供が泣いている 聞きたくなくて耳を塞ぐ 足元を我が物顔で犬が通る 飼い主は謝りもせず通り過ぎるから 足は伸ばさずにたたんでいる 座っているベンチの横では カップルが愛を語っている 私は一人だから 見たくなくて目を閉じる そうして丸まったまま 太陽の熱で焼かれている 温度を消すことは出来ないから 意識を遠くへ飛ばしている 何も出来ない私と ちっぽけな体だけが 置きざるになる夕暮れ また一日が終わる 相変わらず子供は泣き声を上げている |