「生と死」元ネタ&裏話
昔のパソコンを漁っていたら出てきてしまった後輩の作品。
未完成でもあり、名前は伏せてということだったため、後輩の名前は伏せて。
どんな風に物語りは作られるのか? というのを参考にしていただければ幸いです。

※短いため読みにくい箇所を除き、なるべく渡されたお話どおりにしております。

後輩
意味(仮)

【キャスト】 (敬称略)


黒崎 唯 
川端 麻斗
朝倉 尚


黒崎上手より登場。舞台中央に座って、空を見上げる。

黒崎  「明るい、暖かい、(下を見て)熱せられたコンクリート、(周りを見て)フェンスに
囲まれた四角い場所……空」

川端上手より登場。黒崎がいる事に少し驚きながらも、どこに座ろうかと立っている。

黒崎  「……空は青い」
川端  「はぁ? あたりめーだろーがバーカ」
黒崎  「あんたにいってない」
川端  「あーそーかよ」
黒崎  「……なんでここにいんの?屋上は立ち入り禁止」
川端  「人の事言えんのかよ」
黒崎  「あんたに言ってんの」
川端  「五時間目……なんだったっけ」
黒崎  「なぁに?説教しにきたの?」
川端  「違ぇーよ。俺は純粋なサボりだ。お前こそどうなんだよ」
黒崎  「純粋って……私はただ、なんとなくここにいるだけ」
川端  「なんとなくねぇ」
黒崎  「あんたさぁ」

黒崎 川端のほうへ歩き、顔を覗き込む
川端 ちょっと後ずさる
黒崎 安全ピンとシルバーのピアスを取り出す

黒崎  「ピアス開ける気なぁい? 今なら新品のピアスもつけて、片方1500円!」
川端  「なんでいきなりピアスがでてくんだよ。その前に、なんでそんなもんもってんだ?」
黒崎  「MYブームなんだ」
川端  「ピアスすつけんのがかぁ?」
黒崎  「うん。ほら」

黒崎 耳を見せる

川端 「うわ、なんだお前その耳!」 
黒崎 「ほら、新しそうな傷があるじゃん。今日の朝校章であけようと思ったんだけど、失敗した」
川端 「校章?!」
黒崎 「そうそう。でもさぁ、校章って案外切れ味悪いんだよねー。途中でやめた」
川端 「今日の朝って……」
黒崎 「血ってさぁ、赤いんだよね。絵の具にないような赤で、周りがそれでいっぱぁい」
川端 「おい」
黒崎 「これがさ、私の生きてる証かなぁ」

川端 自分の耳を押さえながら怪訝そうに

川端 「お前、こんなところにいるより病院行ったほうがいいんじゃねぇか?」
黒崎 「消毒は毎日ちゃんとしてるわよ」
川端 「耳もそーだけど、まずは頭のだよ、あ・た・ま」

川端 頭を軽くたたきながら言う

黒崎 「私はいたって真面目だけど?」
川端 「そーゆー神経がおかしいんだよ」
黒崎 「まぁいいや。あ、そーいやこんなところで開けたらだめだよなぁ。コンクリだし、血の始末が」
川端 「やっぱ開けようとしてたんかお前は」

黒崎少し笑ってピアスをしまう

黒崎 「浅斗は?」
川端 「あ?」
黒崎 「浅斗は、生きてるって気ぃする?」
川端 「さぁな」
黒崎 「何それ」
川端 「わからねえって事だよ。とにかくお前は病院いけ。このままじゃお前いつか出血多量で死ぬぞ」
黒崎 「ピアスあけて出血多量なんて、聞いたことないけど」
川端 「ま、そりゃあそうか」
黒崎 「それに、病院のベットじゃぁ……空は見えない」
川端 「窓から見ればいいじゃねえか」
黒崎 「屋上から見るのが良いのよ。窓からだと、何か空を窓の形に切って貼り付けてあるみたいで、いや」

川端 空を見上げながら

裏話

ええっと。終了です
ここまでしか存在してません。一体どういう経緯でココまで書かれたのか、
今となっては謎でしかないですね……。
まぁ、書かれなくなったのは、確か「書いている途中に欝になってきたから」だったと思います。
そりゃあ、欝になるだろう……。

で、正直なかなか素敵に壊れている女性だなというのが私の第一印象でした。
だったら、少し壊れた子達のお話にしてみようかなと。

それで、一方では生きていることに目的がない人間達と、
一方では目的しかない死神という、グループのお話にしてみようと思い立ったわけです。
死神にしたのは、多分そういう系のお話がそのころよくあったからって言うのと、
後輩が「死神やってみたい」って言ったからだと思います(苦笑)
幽霊でも良かったんですけどね。カマもっていたほうがカッコいいし。
人数が増えたのは役者が五人だったから。
というより、「五人で考えてごらん?」って言ったのに、
なぜか後輩が書いたら三人台本(一人登場しないけど)になっていたという……。

が、しかし結局この作品は私の高校では演じることのないままお蔵入りとなったのでした。
その理由は簡単。「演じてて欝になるから」
……そりゃあ、書いているときに欝になって書けなくなったんだからそうだよなぁ。
当たり前の事実に頭を抱えたというのも今となってはいい思い出?でしょう。
その後、後輩の許可を取ってネットに乗せたものの、
よく使われる作品に成るとはまったく予想していなかったのでした。


ちなみに、よく聞かれることで、いつか書いておこうと思ったのですが、
この「生と死」英語の部分が、使用方法を間違えております。
正確にはLife or deathかlive or dieなわけですよね。多分。
動詞と動詞、もしくは、名詞と名詞でなければorでつなぐのはおかしいわけです。

でもこれ、わざとやっています。
作者としては生きることに対して受動的でありながら死ぬことに対して能動的な感覚が、
Life or dieっていう言葉にこめられないかなぁと思ったのです。
日本語で書くと「生きていることと、死ぬこと」という形になるでしょうか。
なんか、それだとカッコ悪いかなと。
だから、日本語で書くと「生と死」なんだけど、その意味合いはLife or dieなんだよ。
っていう伝わりにくい意味があったりしました。

この作品、作者の思惑にはずれ使われることが多くなってしまったので、
最近書き直そうかと思っています。
そのために、ちょっと昔の書き損じとかも調べていて、ネタが出てきたので、
乗っけてみることにしました。

これが、こうなるのかぁ。とか、
皆さんの台本作りの上で参考になれば幸いです。