埼京線内に住む

    語る男    





埼京線の上り電車は、何の目的があってか終点の2駅前に引き返す電車があります。                


私は終点の一駅前に降りるので、目的の駅が次の駅だというのに、乗り換えるわけです。





さて





乗り換えてやれやれと腰を下ろした私の横に座っている男。


見た目二十代。しかし、来ている服が渋めなので、
もしかしたらもっと年上だったのかもしれませんが……










彼がいきなり、片手で
何かを握り締め





          上下へ小刻みに
動かし始めました。












てか



















今時ポケットピ○チュウかよ!!























驚きでいっぱいの私の横で、男は呟きます












男「なぁ、いい加減
機嫌直せよ〜











男は






携帯に向かって話していたのでは
ありません。



















男の視線は思いっきり、










ポケットピカチュ○に向いていました。





















男「たく、
ネズミのくせにしつこいんだからよ」




















男「あ、ごめん。
別に本気で思ってないって
















片手を小刻みに動かし
歩数を上げながら








男は喋る。












答えを返さない機械に向かって
















痛い。













彼の言葉一つ一つに涙を流しそうになる。




















ところが、
















男は電車が走り出すと電車の窓からとをを覗いては、









男「たく、電車のくせにとろとろ走りやがってよ、なぁ?」






と、いきなりぶつぶつとポケット○カチュウに向かって、









自分の不満を語りだした。

















目は外を向いたまま、





男「分かってんのかよ、
おまえの事だよ」





私(誰だよ)
















男「山手線なんか転倒しちまえばいいんだよ、
なぁ?





私(なんでだよ)

















男「爆破しちまおうゼ、
なぁ?










んなこと、語られても、







彼(ポケットピカ○ュウ)は困るだろう


















と心の中で思いつつも、





男の考えがドンドン危ない方向へいくので内心











逃げたくなってしょうがなかった私です(涙


















電車が目的の駅についた時には、






一番に飛び出て逃げました。














てか、あの男


















寂しくないんですかね?





















私が聞いたあの男の最後の言葉は、


















男「ほら、プレゼントやっとたまったよ





  
そんなに喜ぶなって




  
俺とお前の仲だろ!?」










満面の
笑顔












   笑顔











   笑顔……


























東京って所は






人の心をおかしくする




改めて学んだ出来事でした。