仲間 作楽静
ふざけあっていたなんでもない日常。それに終止符を撃ったのは、智也の一言だった。 「俺、K大に行くつもりだ」 俺達は皆して、智也が冗談を言ってるのだと思った。でも、智也は本気だった。 付き合っている彼女がK台を志望しているからと言うのが大きな理由ではあったようだが、どうやらそれだけじゃないらしい。 「将来について、考えてみたんだよ」 そう言って、照れる智也は、俺達の中で一番輝いていた。 智也に続いて、健一が変わった。 前から、健一は絵が上手くて、俺達は天才画家と半ばからかい半分に言っていた。その健一が、美大を目指すのだと、俺達に言った。 「自分が何処までできるか試してみたい」 そう言った健一は、智也と同じように輝いていた。 俺達は、だんだんとそれぞれの夢に向かって進みだしていた。いや、俺達仲間の中で、俺だけが異質だった。 あいつらが、真剣に将来について語り合っている時に、俺だけがいつも蚊帳の外にいた。 「お前はどうするんだよ?」 智也の言葉に、俺はただ薄ら笑いを浮かべることしかできなかった。 将来? なんだよそれ? 俺達、そんなまじに人生生きてきたわけじゃねえじゃんか。 真剣に生きてる奴らが羨ましいくせに、俺は、だんだんと奴らから離れていった。将来も決められぬまま、ただ、流れて。 いつのまにか、自分の偏差値にあった大学に進路は決められていて、大して苦労もせずに、そこに入っていた。 『お前もこいよ』 それぞれ希望の大学には入れたと、奴らが飲み会を開くらしい。電話口から聞こえる陽気な声に、俺は曖昧な言葉を返して受話器を置いた
完
暗いですねこの話。 なぜなら 自分が一番なりたくない状況 を書いてみたからです。 よって 今はこんな状態ではないわけです。 がっくりした人はいますか? いたら表へ出なさい(爆 ここまで読んでくれてありがとうございました |