悩み 楽静 2001/4/21
このままでいいのかわからずに歩き始めた道の途中で僕は幾度も迷っていた。
どこに行けばいいのわからずに、でもすすまなければいけないことだけは明確に頭の中にあった。
まるで十字路の真ん中で、どこへ進めばいいのかわからないでいる小さな迷子のように。
僕は孤独で、無知で、そして寂しかった。
何度となくおとづれる昼と夜の間で、まるで全てが僕の願いとはかけ離れているようで、ひたすら怖かった。
ひざを抱えたままじっとしていることが僕には許されないことのように思えて、ひたすら歩き回りながら、それでも道を歩き出せず、ただ同じ場所をぐるぐると回っていた。
何度も、何度も。そうする事で、僕の中で何かが解決するかと思ったのかもしれない。
だけど、歩きつづけることはただ、どの道がどこにつながっているかをさらに分からなくさせるだけだった。
僕は何も分からず、何もかもに脅え、そして、何もかもから逃げたかった。
「だけどあなたは逃げなかった。だから今、あなたはここにいるのでしょう?」
僕の独白をじっと聞いていた彼女は、まるで当たり前のようにそう言って頼んでいたアイスティーを音も立てずに吸った。
黙ったまま、僕は彼女を見ていた。
「誰も彼もが自分の道を決められるわけがないわ。悩んで、苦しんで、皆生きているわけでしょう。あなたが言った事は、全ての人が通る過程であって、べつに特別な事じゃないわ。あなたはただ、自分の体験を人に話すことで、人からの同情を集めようとしているだけよ」
一声でそこまで言ってからまたアイスティーで唇を濡らして、言葉を続ける。
「でも、あなたは結局今ここにいて、道の途中にいるだろうと、迷いつづけているだろうと、たとえそれがこれからも続くだろうと、あなたがあなたである事に変わりはないって言う重要な物を手に入れているの。それでいいんじゃない?」
そうかもしれないと、僕はただそれだけしか答える事はできなかった。そして、彼女がまんぞくそうにアイスティーを飲むのを眺めていた。
僕の感情や悩みなどは理解できない物だときっと彼女も分かっているのだろう。わかったうえで、あえて彼女は突き放した態度を取る。それが嬉しいなんて思ってはいけないのだろうか?
僕はまだ十字路の真ん中にいる。
だけど、僕の横には彼女がいる。それでいいと今は思えた。
完
この作品…… 青い……青すぎです。 好きな人が側にいるくらいで悩みが解決するのなら世話は…… などというと、殺気を感じそうなので、 ええ、もちろん。 私はそんなこと思ってません。 作品のとおりですよ。まったく。 とりあえず、悩んでいた時期に、 「こうだったら解決するかもなぁ」と思って作った作品。です。 さて、本当でしょうか? |